こんにちわ。sakuranokiiです。
ポスター発表を成功させたい人へ最後にお伝えするのは「ポスター賞をとるコツ」です。
ポスター賞は受賞できれば就活でのアピールポイントにもなるし、ドクター進学を考えている人にとっては自分に自信を持てるきっかけになるでしょう。
本記事を読んで実践すれば、ポスター賞受賞にぐっと近づけると思いますよ。
審査員の気持ちを考える
ポスター賞は審査対象の学生のうち、上位10%以上の学生が受賞する場合が多いです。
すなわち、普通に発表して普通に質問に答えるだけでは受賞できないです。
周りの学生とは違うことをしないといけません。
では、何をすべきか考える上で審査員側の気持ちを考えてみましょう。
筆者の想像では、ポスター賞の審査は複数人(3人ぐらい?)の大学教員が審査員となり、担当学生のポスター発表を聞いたときの印象で受賞が決まると思います。
では、先生はどんな学生に強い好印象を持つのでしょうか?
「面白い研究をしていて、かつ、ちゃんと面白く話せる学生」だと筆者は考えています。
つまらない研究をしているのはもちろんダメだし、せっかく面白い結果を持っていてもそれを伝えられなければ上位10%には入らないでしょう。
面白いデータを出すことがインプットとすれば、それを面白く伝えるアウトプットまで出来る人が入賞するのです。
就活の面接みたいなもので、ポスター賞は面接官の独断によって決まります。独断とはいえ、皆が「この学生いいな」と思う共通項はあると思います。筆者自身も学会発表を聞いてて「この学生さんの発表よかったな」と思った時には、実際にその方が受賞するケースは多いです。その共通項の言語化は難しいですが、記事に書いたように「面白い研究を面白く話せる」ことではないかと今は考えています。
たくさん実験する
では、具体的に何をすればいいのかを説明します。
なにはともあれ、たくさん実験することが一番大事です。
なぜなら、たくさん実験しないと面白いテーマは見つからないし、価値の大きい実験結果も出ないし、深い議論をするためのサポートデータも得られないからです。
面白い発表をするためにも、議論を盛り上げるためにも、ある程度のデータ量は必要なのです。
ただ、やみくもに数をこなせばいいわけではありません。
優先すべきは、背景で述べる課題の解決につながる実験結果(コアデータ)です。
次に、コアデータをサポートする結果(各種分析結果や機構解明)を出しましょう。
また、応用例として産業的な利用(医薬品中間体合成など)につながる結果があると好印象です。
学会は大学教員だけでなく企業の方も参加されるので、興味を持っていただけると思います。
加えて、次のテーマにつながる実験結果があれば、今後の展開まで見据えていることをアピールできるのでさらに好印象でしょう。
忘れてはいけないのが失敗も1つの結果で無駄ではないということです。
ポスターには書けなくても、質疑応答の際に使えるサポートデータになるかもしれません。
結局近道はなく、毎日の努力の積み重ねがポスター賞につながるのです。
研究発表を成功させたい人へ【心構え編】の「ネガティブな感情の消し方」節で述べたように、プレゼンが上手くいくかは日々どれだけ実験を頑張ったかに左右されます。ポスター賞をとれるかどうかも同じです。プロの研究者はなんだかんだ面白いデータを持っている人にやはり好印象を持ちますよ。
課題解決への貢献度をアピール
【発表編】で述べたように発表の仕方を工夫するのはもちろん大事ですが、学生の実力差が一番現れるのは質疑応答です。
本記事ではポスター賞をとるための質疑応答のコツを2つお教えします。
1つ目のコツは、「背景で伝えた課題の解決に本研究がいかに貢献したかを伝えること」です。
例えば、質疑応答中に実験結果の説明をしたとしましょう。
その際、説明の最後に「この結果は背景で述べたこの課題の解決につながります」や「この結果は先行研究ではできなかったことです」などと本研究の貢献度をアピールすべきです。
都度、実験結果と背景を結びつけるように話すのがポイントです。
さらに、背景で述べておらず本研究とは関係性が薄くても、一般的に珍しい現象や興味深い結果であれば、機会を見てアピールしましょう。
ただ、直接聞かれていないことをいちいちアピールするのは気が引けると思う方もいるかもしれません。
しかし、研究の意義は聞かれていなくてもチャンスがあれば積極的に言うべきですよ。
分かりやすく発表したつもりでも、やはり1度聞いただけでは教員といえども理解しきれない部分はあると思います。
だからこそ、議論の時間で研究の意義や実験結果の面白いところを繰り返し伝え、理解を深める手助けをすることには意味があるのです。
聞き手の理解が深まるほど質問も出やすいため、議論が活発になることにもつながります。
ここまでできる人が「研究を面白く話せる人」です。審査員に好印象を持っていただけるでしょう。
次の節でも触れますが、聞かれたことにしか答えない人はポスター賞を狙う上では不利です。そういう人は聞き手からすると自分から色々聞かないと情報が得られない人なので正直面倒ですね(笑)。少なくとも良い印象は持たないです。聞き手の知識欲を存分に満たすように情報は出し惜しみせずに全て伝えましょう。聞き手は勉強になった発表に好印象を持ちますから。
議論を盛り上げる
2つの目のコツは「自ら話題提供し議論を盛り上げること」です。
質問に対する直接の回答だけを答えるのはナンセンスです。
質問への回答にプラスして、関連した結果も合わせて答えましょう。
この際、ポスターに書ききれなかった結果は積極的に伝えるべきです。
可能なら印刷したスライド等を資料として用意しておくと説明しやすいですよ。
ポイントは課題解決に向けていかにたくさん実験してきたかをアピールすることです。
また、自分なりの考えは積極的に発言した方が良いです。
相手が大学教員だからといって物怖じする必要はありません。
実際に手を動かして実験している発表者の意見は聞き手にとって重要な情報ですからね。
特に、相手から意見を求められたときはチャンスです。
いかに自分が研究テーマをよく理解し、深く考えているのかをアピールしましょう。
議論が盛り上がれば、実験で困っているところの解決策を逆質問するのもいいですよ。
話題提供にもなるし、課題解決に向けた有益な情報が得られるかもしれません。
筆者が「今回はポスター賞とれそう」と思う瞬間は聞き手全員と議論が盛り上がったときです。実際そのときはもれなく受賞しましたね。深い議論ができたときは審査員の印象が非常に良いのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。
ポスター賞を受賞するためには審査員の好印象を勝ち取らないといけません。
そのためには、面白い研究をすることと、その面白さを適切に伝えることの両方が必要です。
日々たくさん実験して、深く物事を考えましょう。その積み重ねが力になります。
努力した結果、たとえポスター賞をとれなかったとしても悲観する必要は全くありません。
ポスター賞をとるために積み重ねた経験は決して無駄ではなく、研究者としての土台になります。
その土台にまた経験を積み重ねていき、確固たるものにすることで、1人前の研究者になれるのだと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
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