論文要約のコツ【1報の場合】

論文要約のコツ【1報の場合】悩み
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こんにちわ。sakuranokiiです。

理系研究室に入った学生さんなら多くの方がこんな悩みを抱えたことでしょう。

論文の要約を発表しないといけないけど、

どうまとめればいいのかわからない・・・

学生の教育のために、1報もしくは複数の論文を要約し発表させる研究室は数多くあるでしょう。

筆者の研究室はこういった勉強会に熱心で、卒論・修論等で多忙になる時期を除いて、形式の異なる勉強会を週3回実施していました。

6年間の研究室生活でざっと600回近くの勉強会を経験しました。

そんな筆者が体得した論文要約術について、本記事では論文1報を抄録する際のコツをご紹介させて頂きます。

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結論から始め結論で締める

結論から始め結論で締める

論文要約でやりがちな失敗パターンは、論文に記載されている順番通りにまとめてしまうことです。

その順番だと聞き手が一番知りたい論文の結論が最後まで分からないため、聞き手はストレスを抱えます。

筆者がおススメする論文要約の説明順序を以下に示します。

おすすめの説明順序

①結論:どんな課題を解決した論文なのかを簡潔に説明

②背景:できるだけわかりやすくする(次節参照)

③実験内容:実験目的が何かを都度明確にする(次節参照)

④結論:背景で述べた課題をリマインドしつつ最後にもう一度言う

初めに結論として、この論文が何を発見し、どんな課題解決にどう貢献したかについて共有します。

ここでは簡潔に説明するだけにとどめて置いておきます。聞き手に研究のゴールをざっくりイメージさせることが目的だからです。

背景と実験結果、考察と一通り論文の中身を説明した後、結論を最後に振り返ります。

このときは背景で述べた課題をリマインドし、本論文の発見が確かにその解決策に相当するという流れで話すと、論文の意義がよくわかるので良いと思います。

sakuranokii
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「結論を先に言う」という姿勢はプレゼンはもちろん普段の研究の議論のときも意識した方がいいですよ。研究者は皆まず結論を知りたがります。

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背景は全力で分かりやすくする

背景は全力で分かりやすくする

はじめに結論を話したら、次は背景について述べます。

背景は聞き手の立場になってできるだけわかりやすく伝えましょう。

聞き手が背景の段階で「これどういうこと?」と躓くと、それ以降ずっともやもやした状態で本論を聞くことになり話が頭に入ってこない上に、論文の面白さも伝わりにくいです。

背景を分かりやすくするためには、その論文が取り組んでいる課題を明確にすることが鍵です。

課題を明確にした後、その課題を解決するメリットを説明すると、論文の意義がよくわかります。

加えて、課題解決に対する先行研究について、その先行研究と比べた著者のアプローチの優位性、さらに、著者がそのアプローチをどういう流れで思いついたのかも述べれば十分でしょう。

論文で上記が分かりやすく記載されていれば良いのですが、先行例の記載が長々と続いたり、先行研究との違いが初学者には読み取りにくいなど、論文によっては分かりにくいことがあるかもしれません。

論文の記載通りにするよりも、はじめて聞く人にもわかりやすいように情報を整理・補填することが大切です。

sakuranokii
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背景は文章が長いし調べることも多いので要約が一番むずかしいです。最初は論文の記載通りでもいいと思います。下手に要約しようとすると、自分が知らないだけで実は重要な部分を省略してしまうかもしれないので。知識が増えてくれば何が大事で何がそうでもないかはわかってくるので要約の仕方も身につきます。先輩の要約の仕方を参考にすると良いでしょう。

実験目的と結果を対応させる

実験目的と結果を対応させる

背景の次は実験内容を紹介します。

コツとしては、実験の目的をしっかり述べた後、結果や著者の考察を話すことです。

目的の解説をそこそこにして実験の結果中心に話されると、聞き手としては何のための実験か不明瞭なので結果を聞いてもピンときません。

論文は実験結果が内容の大部分を占めるので、そのまま要約してしまうと結果の話ばかりで目的の解説がいい加減になりがちです。

各実験ごとに目的と結果を対応させながら話すように意識すると、実験内容は伝わりやすいですよ。

著者の考察としては、目的に合致した結果が得られたのか、それとも予想外であったのかをまず始めに明確にするとよいでしょう。

sakuranokii
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実験の目的→結果と考察の流れで話すのは上述の結論先行型の考え方に近いです。実験のゴールがどこなのかを明確にするのが聞き手に優しい話し方です。

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細かい話は言わない

細かい話は言わない

要約は「何を言うか」と同じぐらい「何を言わないか」が大事です。

したがって、細かい話は言わない、もしくは、分かりやすく整理することが重要です。

とはいえ、最初のうちは何が重要で何が枝葉の話か切り分けるのが難しいでしょう。

そこで、筆者なりに代表的な省略可能ポイントを以下に示します。筆者の専門である有機合成系の論文を例にしてまとめましたので、ご参考までに。

省略可能ポイント一覧

◎背景

 多すぎる先行研究⇒初例と最新例、最も関係の深い例の3つでOK

実験内容

 多すぎる条件検討⇒初期条件と結果が大きく変わった条件、最適条件の3つをおさえる

 多すぎる基質展開⇒各官能基1例のみ、複雑な分子(天然物等)、著者が推す分子に絞る

 多すぎる応用例⇒応用例中の基質展開は1例のみ、条件は最適条件のみでOK

 *省略してもしなくても、実験内容はできるだけ図やテーブルに整理しよう。

◎結論

 長すぎる場合は実験結果のリマインドは省略し、背景で述べた課題に対応する部分を残す

一度自分なりに要約した資料を作った後、声に出して人に説明する練習をしてみましょう。

その際、資料に書いたけど話さなかった箇所は説明に不要なので省略可能ポイントかと思います。

sakuranokii
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上述の背景の節でも言いましたが、基本的に背景に書かれていることは省略しない方が無難です。どちらかといえば初見の人用に情報を足したほうがいいぐらいです。省略可能ポイントの見極め力を鍛えるには、質疑応答の経験を大事にしましょう。質問されたこと=聞き手が興味のあることなので、重点的に資料化するように意識するといいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。

論文要約のコツ【1報の場合】まとめ

論文に記載されている順番で、論文の内容をそのまま伝えるのは要約ではありません。

それだと聞き手に論文を読み聞かせているのと一緒ですよね。

聞き手が分かりやすい、この論文面白いと思ってもらえるように要約しましょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

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