【大学院入試の過去問分析】大阪大学大学院の受験者向け「無機化学対策」

【大学院入試の過去問分析】大阪大学大学院の受験者向け「無機化学対策」大学院入試対策
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こんにちわ。sakuranokiiです。

前記事に引き続き、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻および理学研究科化学専攻の過去問分析結果をご紹介します。

本記事では無機化学の分析結果を共有します。

各専攻の過去問5年分を分析した結果をもとに、全体の傾向・頻出問題・差がつくポイントを解説します。

本記事を読んで、有名大学の院卒という輝かしい学歴を手に入れる第一歩を踏み出しましょう!

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工学研究科_全体の傾向

工学研究科_全体の傾向

まずは全体の傾向から知りたい!

初めに、大阪大学大学院工学研究科の過去問分析結果から説明します。

まずは全体の傾向をざっくり掴んでおきましょう。

下図に阪大大学院工学研究科の無機化学の各単元の出題割合をまとめました。

阪大_工学_無機化学の出題割合

様々な単元から出題されていますが、遷移金属化学・無機工業と材料化学・元素の性質と周期性に関する問題で約6割を占めています

阪大大学院工学研究科の無機化学はこれらの単元を重要視しているようですね。

また、基礎問題と応用問題の比率を見てみると、全体としては77%が基礎問題で23%が応用問題です。

つまり、阪大大学院工学研究科の無機化学は基礎問題が中心なのです。

教科書レベルの基礎事項をしっかり理解することが重要ですね。

ただし、基礎知識とはいえ無機化学は幅広い領域の知識が求められるため、勉強せずに簡単に高得点をとれるわけではありません。

次節から解説する具体的な対策方法をしっかりと読んで勉強してください。

sakuranokii
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【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!無機化学の頻出問題を解説で述べた全体の傾向と比較すると、遷移金属化学や元素の性質・周期性が良く出題される点は共通しています。一方で、他大学でよく出題される無機結晶の構造論があまり出ないのが阪大大学院工学研究科の特徴ですね。

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工学研究科_絶対に落とせない頻出問題

工学研究科_絶対に落とせない頻出問題

どんな問題が頻出なの?対策の仕方は?

各単元の頻出問題を下記にまとめました。

各単元の頻出問題

〇遷移金属化学

・錯体の価電子数計算

・d軌道のエネルギー準位図と電子配置記述→常磁性か判断or磁気モーメント計算

・ヤーンテラー歪みの原理と錯体構造への影響

〇無機工業・材料化学

・半導体の性質と利用

・その他代表的な無機材料の特徴

〇元素の性質・周期性

・元素の基礎的性質(融点、同素体の種類など)

・元素の電子配置記述

・14族元素の性質

〇分子構造と結合論

・VSEPR理論による構造推定

・中心原子の混成状態と分子構造への影響(BeCl2など)

・分子軌道のエネルギー準位図と電子配置記述

〇無機塩の物性と反応性

・金属単体の反応性(LiやNaなど)

・無機酸化物の反応性(硫黄酸化物など)

〇無機結晶の構造論

・無機結晶構造の種類と特徴(NaCl型やCsCl型など)

・単位格子に関する計算問題(配位数や格子中の原子数など)

〇酸と塩基

・HSAB理論の定義と利用

これらの頻出問題の対策は大部分が過去記事【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!無機化学の頻出問題を解説で紹介済みですので、ぜひご覧ください

一部未解説の問題について、下記に対策をまとめました。

分子構造と結合論

中心元素の混成状態と分子構造への影響:中心元素がsp3→四面体構造、sp2→3角形構造、sp→直線構造であることを押さえる。逆に言えば、VSEPR理論で分子が四面体構造や3角形構造、直線構造と判断できるなら中心元素の混成はそれぞれsp3、sp2、spと言える。VSEPR理論を考えるときは中心原子がローンペアをいくつ持っているのかを考えると解きやすい。

分子軌道のエネルギー準位図と電子配置:結合性軌道・反結合性軌道・非結合性軌道がどの軌道か理解しておく。結合次数の計算や常磁性かの判断(不対電子のあるなし)ができるようになる。同核2原子分子(C2やO2)と異核2原子分子(COやNO)のエネルギー準位図の違いを押さえておく。ついでにN2→O2でエネルギー準位図が大きく変化することも知っておく。

無機塩の物性と反応性

・金属単体の反応性:アルカリ金属やアルカリ土類金属の水に対する反応性の序列を覚えておく。合わせてイオン化傾向の序列も覚えておく。アルカリ金属は1電子還元剤、アルカリ土類金属は2電子還元剤として機能することを押さえておく。

・無機酸化物の反応性:酸性酸化物・塩基性酸化物・両性酸化物の分類方法を知っておく。無機酸化物の反応を考えるときは反応相手が還元剤(金属単体など)なのか、酸化剤(ハロゲン単体や高酸化状態の金属)なのか、どちらでもないか(HClやNaOHなど)をまず判断し、中心元素の価数が減るのか増えるのか変わらないのかを念頭に考えると生成物が何か分かりやすい。

遷移金属化学、無機工業・材料化学、元素の性質・周期性に関しては周りと差がつくポイントなので、次節で改めて解説します。

頻出問題は基礎問題が多いですので周りの受験生も当然対策済みです。

簡単な問題が答えられず差がつくことがないようにしっかり対策しておきましょう。

sakuranokii
sakuranokii

阪大大学院工学研究科の無機化学で一番出題数が多い問題は「錯体の価電子数の計算」です。この問題は遷移金属化学の基礎中の基礎ですので点取り問題みたいなものですね(笑)。

工学研究科_周りと差がつくポイントとは?

工学研究科_周りと差がつくポイントとは?

頻出問題は皆正解するからそれだけ押さえても合格することは難しいよね。他の受験者と差をつけるためにはどうしたらいいの?

他の受験者と差をつけるためには「応用問題を解けるようになる」「よく出題されるが周りがあまり対策していない単元を押さえておく」の2点が重要です。

この2点を踏まえて、さきほどの物理化学の各単元の出題割合の図をもう1度見てみましょう。

阪大_工学_無機化学の出題割合2

良く出題される上に応用問題の割合が高いのは「遷移金属化学」「元素の性質・周期性」ですね。

これらの単元に関しては幅広い知識と深い理解が必要であることが分かります。

また、「無機工業・材料化学」は他大学に比べて出題割合がかなり高いですね。

すなわち、差がつくポイントは下記です。

差がつくポイント

①遷移金属化学と元素の性質・周期性に関する幅広い知識と深い理解があるか?

②無機工業・材料化学もしっかり勉強しているか?

上記の問いに2つとも「Yes」と答えられる受験生が合格します

どんな対策をすればいいのかを次節で見ていきましょう。

sakuranokii
sakuranokii

阪大大学院工学研究科の化学は必須解答の化学Ⅰと選択解答の化学Ⅱに分かれます。遷移金属化学や無機工業・材料化学は化学Ⅱの方で主に出題され、元素の性質・周期性や分子構造と結合論は化学Ⅰの方で主に出題されてますね。

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工学研究科_周りと差をつけるためにやるべきこと

工学研究科_周りと差をつけるためにやるべきこと

差がつくポイントは分かったけど、具体的にどんな勉強をすればいいの?

周りの受験生と差をつけるためにどんな対策をすればいいのかを、実際の出題例を見ながら解説します。

差をつけるために勉強すべきこと

①遷移金属化学の対策

・8面体錯体と4面体錯体だけでなく平面4角形錯体のd軌道分裂様式も覚えておく

ヤーンテラー歪みの発生条件とその効果が大きい金属種を把握しておく

遷移金属錯体の反応(酸化的付加・還元的脱離・配位挿入など)に対する配位子の影響を勉強しておく

・磁気モーメントの計算式μ=2[S(S+1)]1/2μBを覚えておく

*具体的には下記のような出題例あり

例)平面4角形錯体と4面体錯体のエネルギー準位図と電子配置記述→磁気モーメントの計算、Cu2+錯体のz軸方向の結合と他の結合の長さ比較、ヤーンテラー効果が大きい金属イオンを選択、Cp*基の立体障害が錯体の反応性に及ぼす影響、配位結合の強さが酸化的付加の速度に及ぼす影響

無機工業・材料化学の対策

半導体のバンド構造と特異な電気伝導性を押さえておく(特に電気抵抗の温度依存性)

その他代表的な無機材料の特徴(利点など)を原理から説明できるようになる

・無機材料合成の人名反応や著名な無機材料の製法は覚えておく

*具体的には下記のような出題例あり

例)半導体の電気抵抗率の温度依存性を金属との違いを含めて説明、半導体に不純物をドープすると電気伝導性が向上する理由、ゼオライトの組成と特徴、石英の組成と性質、光ファイバーの構造と設計指針、ガラスの性質、ソルベー法の各素反応記述、CVD法の正式名称

③元素の性質・周期性の対策

周期増加に伴う元素の性質変化(半径増大、単体の結合エンタルピーの低下、多重結合が形成しにくい、高配位構造がとれる、親和性の高い元素が変化など)を押さえておく

・ややマイナーな元素の知識も覚えておく

・一般的周期性が当てはまらない現象を理由とともに知っておく

*具体的には下記のような出題例あり

例)各14族元素の単体の共有結合エンタルピー比較、C=C結合とSi=Si結合の強さ比較、5配位以上の構造になる14族元素、Si-Cl結合とC-Cl結合の強さ比較、アルカリ金属・土類金属の炎色反応、クラーク数上位4つの元素、白リンの構造、ハロゲン化水素の沸点の序列

差がつくポイントまで押さえておけば合格は目の前ですよ!

sakuranokii
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阪大大学院工学研究科応用化学専攻には有機金属系の研究室がたくさんあるせいか遷移金属化学の問題は結構凝ってる印象があります(笑)。受験者の方は遷移金属化学の対策を入念に行いましょう。研究室に入ってからも役立つと思いますよ。

工学研究科_まとめ

いかがでしたでしょうか?最後におススメの勉強手順を示します。

阪大大学院工学研究科受験者向けの無機化学おススメ勉強手順

Step 1:遷移金属化学、無機工業・材料化学、元素の性質・周期性に該当する教科書の章および授業ノートを復習。無機工業・材料化学に関しては必要に応じて別途専門書を用意して勉強した方がベター。

Step 2:上記3単元に関して本記事の頻出問題や差がつくポイントを勉強

Step 3:もう一度Step 1からやり直して記憶を定着させる

Step 4:時間が許す限り他単元も出題割合の高い順に同様の流れで勉強

Step 5:過去問演習(直近5年分)&復習

上記のステップに沿って勉強すれば、阪大大学院工学研究科の無機化学対策は十分ですよ!

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