【大学院入試の過去問分析」東京大学大学院の受験者向け「無機化学対策」

【大学院入試の過去問分析」東京大学大学院の受験者向け「無機化学対策」大学院入試対策

こんにちわ。sakuranokiiです。

前記事の「東京大学大学院の受験者向け有機化学対策」「物理化学対策」はご覧になられましたでしょうか?

引き続き、東京大学大学院工学研究科応用化学系専攻の過去問分析結果をご紹介します。

本記事では無機化学の分析結果を共有します。

当該専攻の過去問10年分を分析した結果をもとに、全体の傾向・頻出問題・差がつくポイントを解説します。

本記事を読んで、「東大院卒」という誰もが憧れる日本最強の学歴を手に入れる第一歩を踏み出しましょう!

全体の傾向

全体の傾向

まずは全体の傾向から知りたい!

初めに全体の傾向をざっくり掴んでおきましょう。

下図に無機化学の各単元の出題割合をまとめました。

無機化学の各単元の出題割合

様々な単元から出題されていますが、無機結晶の構造・遷移金属化学・元素の性質と周期性で6割以上を占めています

明らかにこの3単元を東大大学院は重視しているようです。

また、基礎問題と応用問題の比率を見てみると、全体として8割以上が基礎問題です。

つまり、無機化学は基礎問題中心の構成であるため、基礎知識がしっかりあれば8割以上の高得点を狙えます。

ただし、基礎知識とはいえ幅広い領域の知識が求められるため、勉強せずに簡単に高得点をとれるわけではありません。

次節から解説する具体的な対策方法をしっかり読んでくださいね。

sakuranokii
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【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!無機化学の頻出問題を解説でも述べましたが、無機結晶の構造・遷移金属化学・元素の性質と周期性は他大学でも頻出です。全国的には遷移金属化学からの出題が最も多いですが、東大大学院は無機結晶の構造に関する問題の方が好きなようですね(笑)。

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絶対に落とせない頻出問題

絶対に落とせない頻出問題

具体的にどんな問題が頻出なの?対策の仕方は?

頻出問題ベスト5を下記にまとめました。

頻出問題ベスト5

1位:無機結晶の構造

*ブラべ格子の種類と特徴、決定要因が頻出

*単位格子に関する計算問題(空間充填率、結晶密度など)が頻出

2位:遷移金属化学

*d軌道のエネルギー準位図と電子配置に関する問題が頻出

*d-d遷移、配位子交換機構、錯体の異性体構造に関する問題もよく出る

3位:元素の性質と周期性

*元素の基礎的な性質(融点、電気伝導度、同素体など)に関する問題が頻出

*イオン化エネルギーに関する問題も頻出

4位:無機工業化学

*金属や半導体の電気伝導性に関する問題が頻出

5位:無機塩の物性

*鉄やアルミニウムの反応性に関する問題が頻出

遷移金属化学及び元素の性質と周期性に関する問題は他大学と同じような問題が東大大学院でもよく出題されています。

一方で、無機結晶の構造に関する問題は他大学で頻出のイオン結晶のみならず、金属結晶の構造も同様に狙われますね。

上位3単元の対策は前記事【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!無機化学の頻出問題を解説で紹介済みですので、ぜひご覧ください。

前節でお見せした各単元の出題割合図の通り、特に無機結晶の構造と遷移金属化学はほとんどが基礎問題ですので、多くの受験生が高得点を取るでしょう。

したがって、無機結晶の構造と遷移金属化学は頻出問題が解けないと周りと大きな差を生んでしまうので、これらの単元をまずは集中して勉強することをお勧めします。

また、他大学とは異なり、無機工業化学や無機塩の物性が良く出題されるのが東大大学院の特徴です。

これらの問題の対策は次節と関係するので後程解説します。

sakuranokii
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無機化学は正直暗記するだけの単元も多いので肩の力を抜いて勉強できます。筆者は有機化学や物理化学の勉強に疲れたら休憩がてらに無機化学を勉強していました(笑)。夜寝る前に無機化学の勉強をすると覚えたことが定着しやすいのでお勧めですね。

周りと差がつくポイントとは?

周りと差がつくポイントとは?

他の受験者と差をつけるためにはどうしたらいいの?

他の受験者と差をつけるためには「応用問題を解けるようになる」「よく出題されるが周りがあまり対策していない単元を押さえておく」の2点が重要です。

この2点を踏まえて、さきほどの無機化学の各単元の出題割合の図をもう1度見てみましょう。

無機化学の各単元の出題割合2

前節でも述べたように無機結晶の構造と遷移金属化学は約9割が基礎問題ですのであまり差はつきません。

一方で、良く出題される上に応用問題の割合が全体に比べて高いのは「元素の性質と周期性」です。

この単元に関しては幅広い知識と深い理解が必要であることが分かります。

応用問題としては現象の理由を文章で説明する問題が東大大学院ではよく出ますね。

また、「無機工業化学」と「無機塩の物性」は他大学に比べてはるかに出題割合が大きいです。

すなわち、差がつくポイントは下記です。

差がつくポイント

①元素の性質と周期性に関する幅広い知識と深い理解があるか?

②ある現象の理由を文章で適切に説明することができるか?

③無機工業化学や無機塩の物性の知識も身に付けているか?

上記の問いに1つでも多く「Yes」と答えられる受験生が合格します

どんな対策をすればいいのかを次節で見ていきましょう。

sakuranokii
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今回の調査では応用化学専攻受験者用(バイオエンジニアリング専攻と同じ問題)と化学システム工学専攻受験者用の問題を分析しました。大きな違いは特にありませんが、強いて言えば化学システム工学専攻は酸と塩基に関する問題が応用化学専攻に比べるとよく出ますね。

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周りと差をつけるためにやるべきこと

周りと差をつけるためにやるべきこと

差がつくポイントは分かったけど、具体的にどんな勉強をすればいいの?

周りの受験生と差をつけるためには具体的にどんな対策をすればいいのかを、実際の出題例を見ながら解説します。

差をつけるために具体的に勉強すべきこと

元素の性質と周期性→一般的傾向が当てはまらない現象を理由とともに押さえておく

*具体的には下記が出題例あり。周期性の問題では周期的でない部分が応用問題としてよく狙われます。

例)MgよりAlの方がイオン化しやすい理由、MnよりFeがイオン化しやすい理由、ZrとHfのイオン化エネルギーが近い理由、Crは4s軌道より先に3d軌道が占有される理由、炭素と違ってケイ素が多重結合を形成しにくい理由

無機工業化学→バンド理論の勉強をする&代表的な無機材料の製法や用途を押さえておく

*具体的には下記が出題例あり。

例)バンド構造の図示、不純物添加で電気伝導度が上がる理由、電気伝導度の温度依存性、欠陥がバンド構造と電気伝導度に与える影響、酸化Alの製法、Al金属の製法、α-アルミナとγ-アルミナの性質と用途の違い

無機塩の物性→両性金属元素の種類と性質を押さえておく&金属特有の反応性を勉強する

*具体的には下記が出題例あり。

例)両性を示す金属はどれか、Al金属が濃硝酸に溶けない理由、金属ヒドリドの反応性、鉄と希硫酸の反応式、硫酸鉄の酸化で起こる現象、硫酸鉄の配位子変更による溶解性変化

東大大学院の無機化学の対策は「無機結晶の構造・遷移金属化学・元素の性質と周期性に該当する教科書の章および授業ノートを1通り復習→何度か反復して記憶を定着→上記の差がつくポイントを勉強→時間が許す限り他単元も同様に勉強→過去問演習&復習」の流れで進めるのが良いかと思います。

無機化学の場合は問題演習は過去問ぐらいにしておいて、教科書を読み込んで知識量を増やすことを中心にした勉強をおススメします。

復習の際は、専門用語を適切に用いて自分なりに現象を説明できるようになることを意識しておくと、文章説明系の応用問題の対策にもなるので一石二鳥ですね。

何度も言うように、無機化学は基礎問題が中心ですので東大大学院だからと言って恐れることはありません。

広く浅くを意識して幅広い知識を身に付けながら、上記の差がつくポイントを意識した勉強もこなしておけば、無機化学安定した得点源になると思いますよ。

sakuranokii
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無機化学は「知っているか知らないか」の差が大きい科目ですが、東大大学院ではより一層そうです(笑)。他大学に比べて無機化学全般に関する幅広い知識が求められる印象があります。しかしながら問われるのは基礎的知識ですので、広く浅く勉強するのが効率的な対策です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下図のようになります。

【大学院入試の過去問分析」東京大学大学院の受験者向け「無機化学対策」まとめ

大学受験では東京大学は別格に難しい印象がありますし、実際にそうですね(笑)。

一方で、東京大学大学院の入試は他大学に比べて別格に難しいわけではありません

教科書レベルの知識がしっかりあれば解答できる問題がほとんどです。

ただし、東大大学院は受験者のレベルが高く、また、他大学からの人気も高いので倍率が約2倍と大学院入試にしては高いです。

ですので、本記事で述べた差がつくポイントまでしっかり押さえておくことが合格する上で重要です。

本記事と合わせて、東大大学院の有機化学・物理化学の対策の記事も合わせて読んでくださいね。

以上、ご参考になれば幸いです。

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