【大学院入試の過去問分析】東京大学大学院の受験者向け「有機化学対策」

【大学院入試の過去問分析】東京大学大学院の受験者向け「有機化学対策」大学院入試対策

こんにちわ。sakuranokiiです。

大学院入試の過去問分析の新コンテンツとして、大学院別の過去問分析シリーズをスタートします。

第1校目は東京大学大学院工学研究科化学系専攻の大学院入試について分析します。

当該専攻の過去問10年分を分析した結果をもとに、全体の傾向・頻出問題・差がつくポイントを解説します。

解説する科目は大学化学の主要3科目である有機化学・物理化学・無機化学の3つです。

本記事ではまず有機化学の分析結果を共有します。

本記事を読んで、「東大院卒」という誰もが憧れる日本最強の学歴を手に入れる第一歩を踏み出しましょう!

全体の傾向

全体の傾向

まずは全体の傾向から知りたい!

初めに全体の傾向をざっくり掴んでおきましょう。

下図に有機化学の各単元の出題割合をまとめました。

全体の傾向2

様々な単元から出題されていますが、カルボニル化合物・芳香族の反応性・アルケンに関する問題が半分以上を占めています

また、基礎問題と応用問題の比率を見てみると、全体としては7割以上が基礎問題です。

東京大学大学院の入試問題と言われると難しい問題ばかり出題される印象がありますが、実際は大部分が基礎的な知識を問う問題なのです。

教科書レベルの知識をしっかり理解しておけば、東大の院試問題と言えども高得点を狙えます。

それでは、具体的な対策方法を次節から解説します。

sakuranokii
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【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!有機化学の頻出問題を解説でも述べましたが、やはりカルボニル化合物・芳香族の反応性・アルケンに関する問題は東大大学院でも頻出ですね。これらの単元に関しては深い知識を身に付けておくと有利ですよ。

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絶対に落とせない頻出問題

絶対に落とせない頻出問題

どんな問題が頻出なの?対策の仕方は?

頻出問題ベスト5を下記にまとめました。

頻出問題ベスト5

1位:芳香族求電子置換反応

*特にフリーデルクラフツアシル化が良く出題される

2位:カルボニルの還元反応

*ヒドラジンとLiAlH4を用いた還元が良く出題される

3位:アルケンへの付加反応の位置・立体選択性

*HBr付加が最もよく出題される

4位:アルドール反応・アルドール縮合

*基礎から応用まで様々な形式で出題される

5位:ディールズアルダー反応

*ブタジエン類+ジカルボニルアルケン類が頻出

他の大学院でも頻出の問題が東大大学院でもよく出題されています。

これらの頻出問題の対策は前記事【大学院入試の過去問分析】化学専攻必見!有機化学の頻出問題を解説で紹介済みですので、ぜひご覧ください

頻出問題は基礎問題が多いですので周りの受験生も当然対策済みです。

絶対に落とせない問題ばかりなので、しっかり対策しておきましょう。

sakuranokii
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他の大学院でよく見る天然物や医薬品の全合成を題材にする問題形式が東大大学院ではなかったですね。最低限の情報しかない1問1反応のシンプルな問題形式です。あとは他大学に比べて文章で説明させる問題が多かったですね。

周りと差がつくポイントとは?

周りと差がつくポイントとは?

頻出問題は皆正解するからそれだけ押さえても合格することは難しいよね。他の受験者と差をつけるためにはどうしたらいいの?

他の受験者と差をつけるためには「応用問題を解けるようになる」「よく出題されるが周りがあまり対策していない単元を押さえておく」の2点が重要です。

この2点を踏まえて、さきほどの有機化学の各単元の出題割合の図をもう1度見てみましょう。

周りと差がつくポイントとは?2

良く出題される上に応用問題の割合が高いのは「カルボニル」「反応機構記述」「置換・脱離反応」「酸・塩基」ですね。

これらの単元に関しては幅広い知識と深い理解が必要であることが分かります。

また、他大学院に比べて東大大学院は「高分子化学」と「その他に分類される問題」の割合が高いです。

その他に分類される問題としては、沸点や融点の序列、分子構造と水溶性、有機人名反応の名称などがあり、有機化学に関する様々な知識が問われます。

すなわち、差がつくポイントは下記です。

差がつくポイント

①カルボニル、置換・脱離反応、酸・塩基の化学に関する幅広い知識があるか?

②反応機構を深く理解しているか?

③高分子化学の知識があるか?

④その他有機化学に関する幅広い教養があるか?

上記の問いに1つでも多く「Yes」と答えられる受験生が合格します

どんな対策をすればいいのかを次節で見ていきましょう。

sakuranokii
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今回の調査では応用化学専攻受験者用(バイオエンジニアリング専攻と同じ問題)と化学システム工学専攻受験者用の問題それぞれを分析しました。大きな違いとしては、化学システム工学専攻はスペクトル解析の問題が頻出でしたね。当該専攻受験予定の方はNMR・IR・MSスペクトル解析の勉強もしっかりしておきましょう。

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周りと差をつけるためにやるべきこと

周りと差をつけるためにやるべきこと

差がつくポイントは分かったけど、具体的にどんな勉強をすればいいの?

周りの受験生と差をつけるためにどんな対策をすればいいのかを、実際の出題例を見ながら解説します。

差をつけるために勉強すべきこと

①マイナー人名反応・反応剤を覚える

*具体的には下記反応が出題例あり。知らない方は覚えておきましょう。

例)マンニッヒ反応、ベックマン転移、バイヤービリガー酸化、ダルツェンス反応、ハロホルム反応、向山アルドール反応、ヴィルスマイアー・ハック反応、クレメンゼン還元、スワーン酸化、チチバミン反応、ワインレブアミド

②反応機構は遷移状態や活性中間体の構造含めて書けるようになる位置・立体選択的反応の場合は選択性の理由を説明できるようになる

*具体的には下記のような反応機構に関する出題例あり

例)アルドール反応の6員環遷移状態や生成物選択性に関する問題、カチオン転移を伴うSN1反応・E1脱離・HX付加反応の機構、SN2反応とE2脱離の違いを反応座標を用いて説明

③代表的な高分子合成反応を押さえておく

*具体的には下記反応が出題例あり。知らない方は覚えておきましょう。

例)ラクトンやラクタムの開環重合(6-ナイロン合成)、無水カルボン酸の開環重合、テトラフルオロエチレンの付加重合(テフロン合成)、チーグラー・ナッタ重合(ポリプロピレン合成)、α,β-不飽和カルボニルのアニオン重合

④分子間に働く弱い相互作用の種類と影響について理解しておく

*具体的には下記相互作用が出題例あり。重要概念のわりに深く勉強していない学生が多いのでまさに差がつくポイント。

例)水素結合の沸点・酸性度・溶解性・分子の安定性への影響、双極子相互作用やロンドン分散力の沸点・融点への影響

「教科書を1通り読む→頻出問題を重点的に対策→上記の差がつくポイントを勉強」の流れで勉強すれば、東大大学院の有機化学の対策としては十分かと思います。

差がつくポイントまで押さえておけば合格は目の前ですよ!

sakuranokii
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“マイナー反応”と言いましたが、それは研究室に入りたての4年生にとってはの話です。修士以上の学生なら知っていて当たり前のメジャー反応ばかりですので、今のうちから全て覚えておいて損はないですよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下図のようになります。

【大学院入試の過去問分析】東京大学大学院の受験者向け「有機化学対策」まとめ

大学受験では東京大学は別格に難しい印象がありますし、実際にそうですね(笑)。

一方で、東京大学大学院の入試は他大学に比べて別格に難しいわけではありません

教科書レベルの知識をそのまま問う問題がほとんどです。

ただし、東大大学院は受験者のレベルが高く、また、他大学からの人気も高いので倍率が約2倍と大学院入試にしては高いです。

ですので、本記事で述べた差がつくポイントまでしっかり押さえておくことが合格する上で重要です。

本記事と合わせて、東大大学院の物理化学・無機化学の対策の記事も合わせて読んでくださいね。

以上、ご参考になれば幸いです。

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