こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程の学生の方々、もしくは、博士課程へ進学予定の方なら誰しもがこの悩みを抱えたことがあるでしょう。
新しい研究テーマが見つからない・・・
行き詰って進め方が分からない・・・
筆者も博士課程への進学を決めた際、新しいテーマの立案・進め方に頭を悩ませました。
結果的には思いついたアイデアがうまくいき、運よく論文としても高い評価を受けました。
筆者が卒業した後も後輩たちが引き継いでおり、まだまだ成長の余地がある興味深いテーマに育ちました。
本記事では、筆者はそのアイデアにどうやってたどりついたのか、どう育てたのか、当時の経験談を振り返りながら、筆者の意見を述べたいと思います。
ヒントは足元にある
研究テーマ探しで最も大切なことは、今まで積み上げた実験結果を振り返ることです。
なぜなら、自分の実験結果から得られた知見・経験はあなただけのものなので、そこから考えたアイデアは独創的なテーマになりやすいからです。テーマ探しの一番のヒントはあなたの足元に落ちていますよ。
新規テーマを見つけるために、よく勉強もせずに最近流行りの分野に手を見出すのは避けた方が無難です。
なぜなら、何がその分野の課題で、何をやったら新しいのかが分からないので、文献調査に膨大な時間を取られるからです。また、流行りの分野は競争が激しいので先を越される場合もあるでしょう。少なくとも博士課程の短い期間内に行うにはリスクが高いのではと思います。
筆者のもともとのテーマは研究室で昔開発した有機合成反応の機構解明でした。反応機構解明で得られた知見を鍵とした、新たな合成反応の開発を新規テーマに設定しました。
内心かなり難しいテーマだとは分かっていましたが、絶対にうまくいくと信じきって実験していたのを覚えています。そしてその不安は現実のものとなりました・・・
人にアイデアを話す
気合十分に新規テーマに取り組んでも最初はやはりうまくいきません。すぐに行き詰まります。
もちろん自分で打開策を考えることも大事ですが、行き詰ったときは先生や周りの学生に積極的に相談するのをおススメします。
行き詰まる原因は自分の考えに固執しすぎて、視野が狭くなっているからです。
だからこそ第3者からの新鮮な意見を聞き、視野を広げることが有効なのです。
筆者の場合は、自分で解決しようと悪戦苦闘した結果、時間だけが過ぎていました。結局先生の意見を参考にして実験するとテーマが進み始めました。それから紆余曲折あって当初のアイデアからは少し離れたものの、なんとか論文として仕上がりました。自分の殻にこもらず、人にアイデアを話すって大事ですね。
不思議な現象を見逃さない
何回も実験していると自分の予想とは違った結果が得られることがまれにあると思います。
こういう不思議な結果は面白いテーマのシーズになりやすいです。
なぜなら、予想と違う現象は常識の外にあるため学術的価値が高いですし、狙ってできることではないので新規性も高いからです。
シーズを無駄にしないためには、「予想と違う結果」=「失敗」と切り捨てないようにしましょう。
予想と違う結果になった原因をしっかりと考えることが大切です。
自分で原因が分からなければ上述のように人に話しましょう。研究室の誰も説明できない現象であれば、それはかなり面白い発見だと思います。
大部分は大したことない場合が多いですが、少なくとも考えるプロセスであなたの研究遂行力は鍛えられますよ。
筆者の場合、新規反応開発の最中に狙いの分子とは異なる分子が得られたことがありました。最初は落胆したのですが、どんな分子ができたのか一応調べたところ、珍しい反応が起こったことが分かりました。「これ面白いのでは?」と思った瞬間の興奮は今でも忘れられません(笑)。この反応に関する論文は高い評価を受け、あのときちゃんと調べて本当に良かったと思います。
異分野との融合
「誰もやってない斬新なテーマにチャレンジしたい!」と思うドクターは多いでしょう。
斬新なテーマを立案する上で、異分野との融合は有効な手段だと思います。
なぜなら、大部分の研究者は1つの専門分野に腰を据えるため、境界領域に相当するテーマは多くの研究者にとって「そんな発想なかった!」と言わざるを得ないテーマだからです。
ただ、異分野と融合したテーマを考えるためには当然異分野の勉強が必要です。
理想としては、全く異なる分野について1から調べ上げ、自分の分野に応用できる点を探したいですが、骨が折れますし時間もかかります。
まずは、研究室内の自分と違うテーマについて、何か応用できることはないか考えてみてはどうでしょうか?分からないことがあればそのテーマ担当者に聞けますしね。
大学院の授業や学内の卒論発表、学会等、異分野に触れる機会は意外に多いです。
斬新なテーマを見つけるコツは普段の研究生活でいかにアンテナを張っているかだと思いますよ。
筆者の場合、同じ研究室でもかなり違う分野の研究をやっていたので、普段の報告会で異分野の勉強ができたのが幸運でした。博士課程後半から境界領域のテーマをスタートしましたが、そのときも研究室内に相談相手がいるのは心強かったです。複数分野を研究している研究室はテーマ立案に強いと思うので、ドクター進学を考えている方は研究室選びの基準にしてもいいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下図のようになります。
テーマを探すときは、過去の実験結果や周りの学生の研究テーマが参考になります。
テーマを育てるときは、人の意見を積極的に取り入れること、普段の実験結果に真摯に向き合うことが大切です。
テーマを探す、育てるために、普段やらないような特別なことを敢えて行う必要はないと思います。
日々の研究室生活でアンテナを高く張り続けていれば、機会をつかむことができるでしょう。
ヒントは意外とあなたの近くにありますよ。
以上、ご参考になれば幸いです。
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