【博士課程の奨学金】新制度「ジョブ型研究インターンシップ」とは何か徹底解説

【博士課程の奨学金】新制度「ジョブ型研究インターンシップ」とは何か徹底解説就職関係
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こんにちわ。sakuranokiiです。

先日の日経新聞で「博士学生の有給インターン支援 就職環境整備で研究推進」という記事が報道されました。

この記事を読んだ学生も読んでない学生もこんな疑問をお持ちではないでしょうか?

そもそも博士学生の有給インターン支援ってどんな制度?

今までのインターシップと何が違うの?

自分にも関係のある制度なの?

上記の博士学生の有給インターン支援とは、今年度から文部科学省がスタートさせた「ジョブ型研究インターンシップ」という博士課程支援制度のことです。

半年ほど前の過去記事「博士課程の奨学金について徹底解説~文部科学省の新たな支援編~」で本制度を取り上げましたが、今月に入ってようやく第一期がスタートし話題になっています。

個人的に本制度は博士課程の学生にメリットの多い素晴らしい制度だと思います。

ですので、博士課程の学生や博士課程に興味がある学生で、本制度を知らない人・聞いたことはあるけどよく調べていない人はこの機会に本制度のことを知っておいてほしいです。

というわけで、本記事の内容は下記です。

本記事の内容

●テーマ

新たな博士課程支援制度「ジョブ型研究インターンシップ」とは何か徹底解説する

●主旨

有益な制度なので本制度を知らない人や聞いたことはあるけどよく調べていない人はこの機会に本制度のことを知っておいてほしい

●読んでほしい人

博士課程の学生、博士課程に興味がある学生

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ジョブ型研究インターンシップとは何か?

ジョブ型研究インターンシップとは何か?

まずはジョブ型研究インターンシップの概要について知りたい!

始めにジョブ型研究インターンシップの概要について説明します。

詳しくは過去記事に書いているので、本記事ではポイントだけをまとめますね。

まず、ジョブ型研究インターンシップの背景と目的は下記です。

ジョブ型研究インターンシップの背景と目的

背景:日本における研究者の魅力低下が現在の日本の研究力低下につながっている

○目的インターンシップを通じて産業界の博士人材採用数増加&博士課程学生への経済的支援を実現することで、博士課程の魅力向上=研究者の魅力向上を促進

有給のジョブ型インターンシップを国が支援するのは初めての試みなので、本制度への注目度は高いです。

次に、すでに行われている博士課程向けのインターンシップ制度との違いを含め、本制度の特徴を以下に示します。

ジョブ型研究インターンシップの特徴まとめ

〇研究遂行の基礎的な素養と能力を持った大学院生が対象(当面は博士課程学生が対象)

〇2か月以上の長期間かつ有給

正規の教育課程の単位科目として実施

企業or大学がジョブディスクリプション(業務内容、必要な知識や能力等)を提示し選考

企業が適切に学生の成果を評価し、採用選考活動に反映できる

企業からインターンシップ評価証明書を取得し、他企業への採用活動にも活用可能

ジョブ型研究インターンシップは「有給」「単位化」「採用選考への関与」を明確に導入した点が新しいです。

続いて、気になる給料や応募時期、募集人数に関する情報を下記にまとめました。

ジョブ型研究インターンシップの給料・応募時期・募集人数・選考方法

〇給料:受入企業の初任給程度を目安とし職務内容に応じて設定(20万前後?)

〇応募時期:3月応募の前期、10月応募の後期の2回チャンスあり

〇募集人数:2023年度までに年間数百人程度が目標随時拡大の予定。

選考方法:ジョブディスクリプションに提示の方法(書類選考のみか面接も実施するかの2択)

今年は10月応募の後期がすでに実施中なので、次回応募できるのは来年3月になりますね。

ここまで読めば、ジョブ型研究インターンシップの全体像が何となく掴めたと思います。

sakuranokii
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ジョブ型研究インターンシップでの学生の業務は参加企業の事業にとってメリットがある業務(学生向けの特別業務ではない)を体験させることが前提だそうです。企業でのリアルな研究活動を経験できるプログラムなので就活に役立つこと間違いなしですね。

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ジョブ型研究インターンシップへの参加大学と企業

ジョブ型研究インターンシップへの参加大学と企業

ジョブ型研究インターンシップに参加した大学と企業ってどこ?

本制度への参加が決まった大学および企業を下記にまとめました(参考:ジョブ型研究インターンシップ推進協議会の設立について)。

ジョブ型研究インターンシップへの参加大学および企業

〇参加大学

・国公立大(34大学)

北海道大学、東北大学、宇都宮大学、埼玉大学、山梨大学、信州大学、新潟大学、筑波大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、東京大学、東京工業大学、富山大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学、京都工芸繊維大学、大阪大学、大阪府立大学、神戸大学、和歌山大学、奈良先端科学技術大学院大学、鳥取大学、岡山大学、広島大学、広島市立大学、徳島大学、高知大学、九州大学、九州工業大学、佐賀大学、熊本大学、大分大学、鹿児島大学

・私立大学(11大学)

東京電機大学、東京都市大学、明治大学、早稲田大学、創価大学、中京大学、立命館大学、関西学院大学、神戸薬科大学、福岡工業大学、沖縄科学技術大学院大学

〇参加企業

旭化成、エア・リキード・ラボラトリーズ、EduLab、エリクソン・ジャパン、沖電気工業、花王、川研ファインケミカル、キャノン、京セラ、キリンホールディングス、KHネオケム、コニカミノルタ、JX金属、塩野義製薬、島津製作所、シャープ、昭和電工、昭和電線ホールディングス、住友化学、住友ベークライト、セントラル硝子、ソフトバンク、第一生命保険、第一三共、ダイセル、武田薬品工業、ちとせ研究所、中外製薬、東亜合成、東京大学協創プラットフォーム開発、東レ、トヨタ自動車、日本電信電話、日本ガイシ、パナソニック、日立製作所、富士通、ブリヂストン、三井化学、三井住友海上火災保険、三井不動産、三菱ケミカル、三菱電機、三菱マテリアル、みずほフィナンシャルグループ

参加大学は計45大学で、旧帝7大学を始め全国各地の国公立・私立大学が参加しています。

ただ、名門私大の慶応義塾大学が参加しなかったのは意外ですね。

また、参加企業は計45企業で、博士課程向けのためかメーカーが多いですね。

ただ、金融業界の企業や外資系企業も参加しておりバラエティには富んでいます。

個人的には大学も企業もまだまだ参加数が少ないように感じましたので、今後本制度がもっと盛り上がり、参加大学・企業数が増加することに期待します。

sakuranokii
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本制度に名乗りを上げた企業は博士課程の採用に積極的な企業と考えられるので、博士課程の学生は就職先の有力候補としてチェックしておくべきだと思います。博士におすすめの就職先についてもっと知りたい方は過去記事「博士課程の就職~博士課程におすすめの就職先・業界とは?~」をご覧ください。

ジョブ型研究インターンシップへの参加方法

ジョブ型研究インターンシップへの参加方法

ジョブ型研究インターンシップへはどういう手順で応募すればいいの?

現在進行中の後期(10月以降)応募の場合を例に、インターンに参加するまでに学生がやることをざっくりご紹介します。

ジョブ型研究インターンシップへの参加手順(後期応募の場合)

〇9月:事前説明会への参加

応募受付は10月からだが、それより前に事前説明会が行われるので参加する(各大学HPで案内あり)

・大学別に実施されるはずだが、大学側が実施しなかった場合は事務局に連絡すれば個別対応してもらえる

〇10月~1月インターン先の決定

10月に入ってすぐに事務局主催で学生への詳細な説明会が開かれるので参加する(各大学HPで案内あり)

まずはシステムへの登録(氏名、専門、所属、研究内容や業績、自己PR等)を行う

・ジョブディスクリプション(業務内容や要求される能力等が記載)を閲覧し応募したい企業を選ぶ。逆に企業側からスカウトされることもある。

・応募企業の決め方が分からない場合は事務局のアドバイザーと面談可能

応募する前に指導教員の許可が必要

・応募すれば必ず採用されるわけではなく選考を受けて合否が決まる

応募できる機会は計4回あり、第1回は10月下旬、第2回は11月上旬、第3回は11月末、第4回は12月中旬。不採用が続くと最大で4企業に応募する可能性があるので、第1志望から第4志望まで早い段階で決めておく。

・応募した企業に合格したら追加応募は不可(やっぱり辞退する場合は指定期間内に申し出ること)

上記4回の応募機会で全て落選した場合、1月からの2次募集に応募する

・2次募集では応募期間の指定はなく好きなタイミングで応募し先着順に選考をうける。複数の企業に同時応募してもOK。

・2次募集では事務局が積極的に学生-企業間のマッチングを支援するため(交流会の開催や学生の登録情報の添削、応募先の斡旋など)、よほどのことがない限り行先は決まるはず

・インターン先が決まれば受入手続き(雇用契約締結、各種保険加入など)を実施

・受入手続きが完了したら履修登録手続き実施

〇1月以降

1月から企業ごとに随時インターンシップスタート

・インターン終了後、企業から評価書をもらう

・上記評価書を参考に単位認定される

色々やることがあって不安かもしれませんが、とりあえずは9月・10月の2つの説明会は必ず参加し、話をしっかり聞いておけば基本的には大丈夫だと思います。

分からないことは随時、大学の指導教員や事務局の担当者に相談すればOKです。

また、インターン先の決定に関しても事務局が積極的にサポートしてくれるので心強いですね。

上記は東京工業大学HPで公開されている「ジョブ型研究インターンシップ参加学生ガイド」を参考にしたので、詳しく知りたい方はこちらから資料をご覧ください。

sakuranokii
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もし第1志望の企業に行けなかったとしても悲観的にならないでください。どのインターン先でも企業での業務経験は将来企業に就職した際にきっと役に立つので無駄にはなりませんよ。吸収できることはたくさんあるはずなので、前向きに学ぶ姿勢を忘れず有意義なインターンシップにしてください!

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ジョブ型研究インターンシップに参加すべき人とは?

ジョブ型研究インターンシップに参加すべき人とは?

ジョブ型研究インターンシップに参加するかどうかはどうやって決めたらいいの?

ジョブ型研究インターンシップはまだ始まったばかりの制度ですし、参加するべきかどうか悩まれる方も多いと思います。

そこで、元博士課程学生の筆者なりに、本インターンシップに参加すべきかどうかの基準を考えてみましたので参考にしてください。

ジョブ型研究インターンシップに参加すべき人

〇2か月以上研究を止めても修了できる自信のある人

ある程度研究が上手くいっていないとインターンに参加する時間的余裕がない

〇就職活動を同期よりも有利に進めたいと思っている人

本制度に参加すれば企業とのつながりができるので就活がやりやすい

企業側の考え方を知っていた方が面接で気の利いた受け答えをしやすい

〇行きたい企業・業界が定まっていない人

希望通りの企業に行けるとは限らないので、行きたい企業・業界が明確に決まっていない人(興味の幅が広い人)の方が気楽に参加できる

具体的に行きたい企業が決まっているなら直接コンタクトを取るのもあり

〇指導教員がインターンシップに理解のある人

応募には指導教員の賛同が必須なので、理解のある人でないと関係が悪くなる可能性あり

もし理解のない人を説得するならインターンシップ参加がお互いにとって有益であることを強調しよう(例えば「インターンシップを通じて研究者として成長し、本業の研究に還元し良い成果を出します!」と言うなど)

ジョブ型研究インターンシップは博士課程進学を躊躇する2大要因の経済的問題と就職問題に対して同時にアプローチしているため、博士課程の学生にとってメリットの多い制度です。

また、インターンを通じて企業目線での研究の進め方を早いうちから理解しておくと、企業に入ってから即戦力として重宝されますよ。

上記に当てはまらなくても、興味がある学生はぜひとも参加してみてはいかがでしょうか?

sakuranokii
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もし筆者が博士課程の学生であれば参加していたと思います。研究が止まるのは痛手ですが、得られるものは大きいと思いますので。

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。

本記事の内容まとめ

ジョブ型研究インターンシップは博士課程の魅力向上=研究者の魅力向上が目的

有給・単位化・採用選考への関与を明確に導入した点が新しいインターンシップ

3月応募の前期と9月応募の後期の2回応募チャンスあり

参加大学は計45大学で全国各地の国公立・私立大学が参加

参加企業は計45社でメーカーが多いが金融業界などの企業も参加

●参加手順はやや複雑だが、説明会に参加し話をしっかり聞いておけば大丈夫

研究の進捗に余裕がある人・就活を有利にしたい人・志望企業や業界を絞っていない人・指導教員がインターンに理解のある人が参加メリット大きい

博士課程の魅力の1つは「多くの人と違う人生を歩める」ことだと筆者は考えています。

今は個の時代ですので、人と違う経験を積むことに大きな価値があります

ジョブ型研究インターンシップのようにまだ始まったばかりの制度は、人と違う経験を積むうえでもってこいの機会です。

博士課程に進学し、かつ、ジョブ型研究インターンシップにも参加した人は、とても貴重な経験を積んだ付加価値の高い人材だと思いますよ。

以上、ご参考になれば幸いです。

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