こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程に興味がある大学生はこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
大学によって博士課程への進学率ってどれぐらい違うのかな?
進学率の高い大学ってどこだろう?
博士号を取得した筆者が断言しますが、博士課程に進学予定の学生はよほどの理由がない限り、博士課程への進学率が高い大学に行くべきです。
なぜなら、進学率が高い大学はそれだけ博士課程へのサポート体制が充実していることの裏返しでもあるからです。
それに、博士課程はただでさえ人数が少ないので先輩や同期は貴重な存在です。
自分以外に博士が誰もいない環境では孤独で精神的に病みやすいですし、単位関係・就職関係の情報も入手しにくいので修了までに何かと苦労するでしょう。
したがって、博士課程に興味がある方にとって、自分の大学の博士課程への進学率がどれほどなのかは進路を考える上で貴重な情報だと思います。
というわけで、本記事の内容は下記です。
旧帝大の博士課程への進学率
まずは、有名大学の博士課程への進学率が知りたい!
まずご紹介するのは有名大学の代名詞である旧帝大の博士課程への進学率です。
進学率が高い順に下記にまとめました。
順位 | 大学名 | 進学率 |
---|---|---|
1 | 東京大学 | 26.9% |
2 | 京都大学 | 20.8% |
3 | 東北大学 | 17.5% |
4 | 北海道大学 | 16.0% |
5 | 大阪大学 | 15.3% |
6 | 名古屋大学 | 14.2% |
7 | 九州大学 | 10.8% |
旧帝大の進学率ベスト3は順に東京大学、京都大学、東北大学でした。
中でも東京大学は2位以下を大きく突き放しており、非常に高い進学率を誇っています。
さすがは日本最高峰の大学と言わざるを得ません。
ちなみに、過去記事で解説の通り、修士から博士課程への進学率が最も高い専攻は理学部の物理学専攻なのですが、東京大学理学系研究科物理学専攻の進学率を見てみると脅威の64%でした(笑)。
東京大学の博士進学人気の秘訣は、充実した研究環境はもちろんのこと、博士課程の学生向けの奨学金制度が充実している点も大きいと思います。
また、過去記事で解説しましたが、修士課程から博士課程への平均的な進学率は約10%ですので、旧帝大はどこも平均以上の進学率であることが分かりました。
博士課程への進学を考えている学生にとって旧帝大はおススメの大学ですよ!
筆者自身も旧帝大で博士課程を修了しましたが、研究設備・研究資金・教員のレベルなどどこをとっても他大学に引けを取らない充実した研究環境でした。実りある博士課程を過ごす上でどんな環境に身を置くのかは非常に大切なので、進学先の大学は慎重に選びましょう。
有名私立大学の博士課程への進学率
私立大学の進学率はどれくらいなの?
旧帝大のお次は有名私大の博士課程への進学率についてまとめました。
順位 | 大学名 | 進学率 |
---|---|---|
1 | 慶応義塾大学 | 10.5% |
2 | 早稲田大学 | 8.7% |
3 | 上智大学 | 7.5% |
4 | 立命館大学 | 7.4% |
5 | 関西学院大学 | 7.0% |
6 | 明治大学 | 6.7% |
7 | 同志社大学 | 6.0% |
8 | 立教大学 | 5.9% |
9 | 青山学院大学 | 4.4% |
私立大学の進学率ベスト3は順に慶応義塾大学、早稲田大学、上智大学でした。
難関私大の代名詞であるこれら3大学が上位3位までを占めていました。
ところが、どの大学も旧帝大最下位の九州大学より進学率が低く、1位の慶応義塾大学を除いて全て平均(約10%)以下の進学率です。
つまり、私立大学は総じて博士課程への進学率は低い傾向にあるようですね。
おそらく原因は私立大学の学費の高さでしょう。
ただでさえ修士課程の6年分でも大金なのに、さらに博士課程の3年分の学費を払うのはあまりに大変ですからね。
もちろん研究環境が悪いわけではないので、金銭的に余裕がある人なら上記私立大学で博士課程に進学するのは十分ありだと思いますよ。
関西大学、学習院大学、法政大学、中央大学といった有名私大の進学率を記載していない理由は、これらの大学では全研究科の進学状況をまとめたデータが見当たらず調査を断念したからです。これらの大学に博士課程がないわけではないのでご安心を(笑)。
その他国公立大学の博士課程への進学率
その他の大学の進学率はどうなの?
国公立大学の博士課程への進学率についてはまとまったデータがありましたので、そちらを参考に全国の国公立大学の進学率ランキングを作成しました。
ランキング作成にあたって、進学者が10人未満の大学は除外しました。大学数が多くなりすぎて集計が大変ですし、年による変動が大きいと考えましたので。
順位 | 大学名 | 進学率 |
---|---|---|
1 | 東京大学 | 26.9% |
2 | 京都大学 | 20.8% |
3 | 北陸先端科学技術大学院大学 | 18.0% |
4 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 17.8% |
5 | 東北大学 | 17.5% |
6 | 東京外国語大学 | 17.0% |
7 | 北海道大学 | 16.0% |
8 | 一橋大学 | 15.8% |
9 | お茶の水女子大学 | 15.4% |
10 | 大阪大学 | 15.3% |
11 | 名古屋大学 | 14.2% |
12 | 東京工業大学 | 13.4% |
13 | 筑波大学 | 13.1% |
14 | 静岡県立大学 | 12.6% |
15 | 広島大学 | 11.8% |
16 | 神戸大学 | 11.4% |
17 | 東京都立大学 | 11.4% |
18 | 横浜市立大学 | 11.4% |
19 | 九州大学 | 10.8% |
20 | 東京医科歯科大学 | 10.5% |
21 | 北九州市立大学 | 10.2% |
22 | 千葉大学 | 10.2% |
23 | 琉球大学 | 10.2% |
24 | 弘前大学 | 10.0% |
25 | 名古屋市立大学 | 9.9% |
26 | 高知大学 | 9.8% |
27 | 大阪市立大学 | 8.9% |
28 | 富山大学 | 8.9% |
29 | 島根大学 | 8.6% |
30 | 金沢大学 | 8.0% |
31 | 長崎大学 | 7.8% |
32 | 徳島大学 | 7.2% |
33 | 奈良女子大学 | 7.0% |
34 | 新潟大学 | 6.9% |
35 | 宮崎大学 | 6.9% |
36 | 熊本大学 | 6.8% |
37 | 横浜国立大学 | 6.8% |
38 | 東京学芸大学 | 5.9% |
39 | 東京海洋大学 | 5.8% |
40 | 大阪府立大学 | 5.7% |
41 | 東京農工大学 | 5.6% |
42 | 山口大学 | 5.6% |
43 | 岡山大学 | 5.6% |
44 | 秋田大学 | 5.4% |
45 | 鳥取大学 | 5.3% |
46 | 豊橋技術科学大学 | 5.2% |
47 | 愛媛大学 | 5.2% |
48 | 鹿児島大学 | 5.1% |
49 | 埼玉大学 | 5.0% |
50 | 静岡大学 | 4.9% |
51 | 岐阜大学 | 4.9% |
52 | 電気通信大学 | 4.7% |
53 | 京都工芸繊維大学 | 4.7% |
54 | 信州大学 | 4.6% |
55 | 九州工業大学 | 4.4% |
56 | 山梨大学 | 4.4% |
57 | 岩手大学 | 4.3% |
58 | 群馬大学 | 4.2% |
59 | 三重大学 | 4.0% |
60 | 山形大学 | 3.9% |
61 | 兵庫県立大学 | 3.8% |
62 | 東京芸術大学 | 3.3% |
63 | 宇都宮大学 | 3.2% |
64 | 茨城大学 | 2.7% |
65 | 名古屋工業大学 | 2.3% |
1位、2位はそれぞれ東京大学、京都大学と日本を代表する名門大学がランクインしました。
3位、4位は北陸先端科学技術大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学がランクインしました。
大学院大学はあまり聞きなれないかもしれませんが、通常の大学と異なり学部をおかず、大学院しかない大学のことです。
文字通り大学院での研究教育を中心とした大学ですので、博士課程まで進学する学生も多いというわけですね。
5位~10位には旧帝大の東北大学、北海道大学、大阪大学がランクインしているほか、東京外国語大学、一橋大学、お茶の水女子大学といった名門大学もランクインしています。
旧帝大以外の国公立大学でも博士課程への進学率が高い大学はあることが分かりますね。
専攻の種類が豊富な旧帝大の方がお勧めできますが、旧帝大以外の国公立大学でも進学率上位にランクインする大学なら博士課程への進学を躊躇する必要はないと思いますよ。
進学者数が10名以下の専攻を除くと、最も進学率の高い大学の専攻は奈良先端科学技術大の情報科学研究科情報科学専攻で進学率はなんと76%でした。データサイエンス領域で博士号を取りたい方に当大学はおススメですね。
博士の半分以上は〇〇大学出身
大学によって博士課程への進学率にばらつきがあるってことは、
博士の出身大学には偏りがあるのでは?
今回、各大学の博士課程への進学率を調べる際に、各大学の博士課程への進学者数も同時に知りました。
そこで、全国の博士課程への進学者のうち、〇〇大学出身者の割合も計算してみました。
上位20大学だけを抜粋してランキング形式でまとめました。
順位 | 大学名 | 進学者数 | 全進学者のうち 〇〇大学出身者の割合 |
---|---|---|---|
1 | 東京大学 | 848 | 14.3% |
2 | 京都大学 | 488 | 8.2% |
3 | 東北大学 | 331 | 5.6% |
4 | 大阪大学 | 329 | 5.5% |
5 | 北海道大学 | 289 | 4.9% |
6 | 早稲田大学 | 258 | 4.3% |
7 | 名古屋大学 | 244 | 4.1% |
8 | 東京工業大学 | 243 | 4.1% |
9 | 筑波大学 | 234 | 3.9% |
10 | 九州大学 | 208 | 3.5% |
11 | 神戸大学 | 148 | 2.5% |
12 | 広島大学 | 142 | 2.4% |
13 | 慶應義塾大学 | 140 | 2.4% |
14 | 千葉大学 | 102 | 1.7% |
15 | 立命館大学 | 95 | 1.6% |
16 | 東京都立大学 | 82 | 1.4% |
17 | 一橋大学 | 64 | 1.1% |
18 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 63 | 1.1% |
19 | 北陸先端科学技術大学院大学 | 59 | 1.0% |
20 | 横浜国立大学 | 58 | 1.0% |
この結果から博士課程進学者に関する下記衝撃の事実が判明しました。
博士の出身大学にはかなり偏りがあると言えますね。
調査前の筆者は「旧帝大や早慶は進学する人が多いだろうな」と予測はしていたものの、これほどまでに多いとは思わなかったので驚きました(笑)。
出身大学には偏りがあるとはいえ、筆者自身は学生時代も社会人時代も博士の集まりなどでいわゆる「学閥」のような排他的雰囲気を感じたことはありません。出身大学での繋がりよりも、研究分野での繋がりの方が強いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
ご自身の出身大学が進学率の高い大学であれば、そのまま安心して博士課程に進学すれば良いと思います。
進学率の低い大学であれば、様々なデメリットを覚悟の上に進学するか、もしくは、進学率の高い大学への進学を考えた方が良いかもしれません。
もちろん、博士課程への進学はどの研究室でどんな研究がしたいかも大切で、進学率の大小だけでは進路は決まらないかもしれません。
ただし、進学率が高い大学で博士課程に進むメリットは進路を決める上で考慮するべきです。
本記事の内容も参考にしながら、じっくり自分の気持ちと向き会って進路は考えましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
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