こんにちわ。sakuranokiiです。
最近では博士課程に進学した学生で海外留学する方も多いでしょう。
留学は刺激的で楽しいものですが、日本人なら誰しもが以下のように悩むと思います。
英語が流暢に話せない・・・
留学先でコミュニケーションできるか心配・・・
筆者自身も英語は苦手でしたが、ドイツへ3ヶ月間留学に行きました。研究室内では英語が公用語で筆者以外に日本人は大学内に1人しかいないという環境でした。そんな環境の中でも研究室生活は楽しめました。
当時の経験を振り返り、英語学習に関してやって効果があったこと、こうすれば良かったことをご紹介したいと思います。
今回はまず、留学先で研究の議論をする際に困らなくなるように、専門英語の学習方法についてお話しさせて頂きます。
自分の研究を英語で話せるようになる
結論から言うと、英語で研究のディスカッションができるようになるには、自分の研究を英語で話す練習をするのがとても効果的です。
この方法が効果的な理由は、研究内容はよく分かっているので、英語学習に集中できるからです。
英語の研究発表は型を覚えて使いまわすのが基本です。プレゼンでの言い回しは普段のディスカッションでもそのまま使え、筆者の経験では実際に十分伝わります。
では、具体的にどうするのかを説明しましょう。
スポンサーリンク卒論を英語で発表する
具体的な方法を言うと、卒業論文の英語バージョンを作るのが効率的です。メリットは下記のとおりです。
科学ではなく英語学習に特化するという意味で、卒論の英語版はメリットが多いです。
それでは、英語版卒論の作り方と発表練習方法の手順を説明します。
Step 1. 卒論の日本語原稿を英訳する
原稿づくりのコツは3つあります。
①ネイティブの著名な研究者の論文から言い回しや使う単語をまねる
一流研究者の論文の文章は洗練されており、論理的で読みやすいです。有機合成専攻の筆者はJ. F. Hartwig先生やS. E. Denmark先生の論文を参考にさせていただきました。
ただ論文は書き言葉なので、口頭では伝わりにくい表現もあるので注意です。例えば、関係代名詞を使った文は口頭で伝わりにくいので2つの文に分けたほうが良いです。
また、論文は無生物主語を基本的に使いますが、口頭発表では主語を「We」や「You」にした方が自然ですので、適宜変更しましょう。
②同じ言い回しばかり使わない
始めて英語原稿を作る際は同じ言い回しを何度も使ってしまいがちです。
ただそれだと単調な発表になってしまうし、言い回しの手札が多い方が実際にディスカッションする際に便利です。
似たような意味でも異なる言い回しで表現することを意識しましょう。例えば、実験結果を話す際には下記のように様々な選択肢があります。
- I carried out・・・
- I conducted・・・
- I tried to・・・
- We performed・・・
- You can see the result of ・・・
使える言い回し一覧を自分なりにまとめておくととても便利ですよ。
③1つの文で言いたいことは1つにする
聞きやすい英語発表にするためには、主語と動詞の関係を明確にすることが重要です。
1文で伝えることを1つに絞ると自然と主語動詞の関係が分かりやすい文章になるので、聞き手側は理解しやすいし、発表する側も話しやすいですよ。
1つの文で2つ以上の物事を伝えるには、間を置く、抑揚をつける等のテクニックが必要ですので、最初はシンプルな短文を心掛けましょう。
完成した原稿は誰かに読んでもらいましょう。できれば先生や留学生など英語が得意な人に添削してもらいましょう。人が読んで分かりやすい文章になっているかどうかが重要です。
Step 2. 原稿を覚える
覚える際のコツは2つです。
①発音が分からない、自信がない単語はすぐに調べてメモ
最初は数多くの単語を調べてメモすることになりますが、都度調べなおす方が非効率的です。筆者はメモしていなかったのでもったいない時間の使い方をしました。
また、発音は完璧を目指さなくてもいいと筆者は思います。
なぜなら完璧な発音を習得するには膨大な時間が必要です。そこに時間を割くぐらいなら専門分野の知識を磨いた方が、修行中の科学者にとっては有意義だと思います。
ただ明らかに間違った発音は避けるべきです。例えば有機化合物の例でいうと、
- アルカン(alkane)の発音はアルケイン
- アルケン(alkene)の発音はアルキン
- アルキン(alkyne)の発音はアルカイン
間違ってしまうと混乱を招く発音は絶対に避けましょう。
②詰まるならスライドを工夫
覚えたと思っても実際に話そうとすると詰まります。しかも英語だとアドリブもききにくいのでかなり焦ります(笑)。
そんなときはスライドを工夫しましょう。具体的には、初めに言うことをタイトルに、最後に言うことをスライドの下に書いておくとかなり発表しやすくなりますよ。
それ以外にも、どうしても出てこないセリフはスライドに書いてしまっても良いし、結論のスライドはセリフの文章をそのまま書いたものにしても良いと思います。
何度も英語発表しているうちに、だんだんスライドに書かなくてもセリフが出てくるようになりますよ。
Step 3. 聞き手を用意して話す
原稿が覚えられたら英語が得意な方に聞き手を頼んで実際にプレゼンしてみます。
変な発音をしていないか?分かりにくかったところはどこか?もっと良い言い回しはあるか?などといった客観的なアドバイスをもらい、英語力の向上に役立てましょう。
慣れてくればもっと長い発表(修論とか)の英語バージョンを作る、最近読んだ論文を英語で紹介する等、徐々にステップアップしていくといいでしょう。
質疑応答の練習⇒反省を繰り返す
決められた原稿を完璧に話せるようになったら、次は質疑応答です。
英語の質疑応答は慣れるまで本当に大変ですが、以下の手順を参考に頑張って練習しましょう。
Step 1.想定質問集と回答集を作り自問自答する
まずは、想定される質問とその回答集をできるだけたくさん作ります。
この際も原稿づくりと同じように様々な言い回しを試す、シンプルな文で答えることを意識しましょう。
そして声に出して自問自答して練習しましょう。筆者はこれを何度もやってもはや回答集を覚えてました。
この過程で、「少なくとも想定質問を聞かれたときには自信をもって答えることができる」と思えるので、英語の質疑応答への苦手意識はだいぶ消えます。
Step. 2 実際に質問をしてもらう
次は、実際に質問してもらって答えられるか試してみましょう。実践が一番効果的な勉強方法ですよ。
うまく答えられなかった質問や想定外の質問が出たら回答集を編集し対応できるようにします。これの繰り返しで英語での質疑応答力は確実に上がります。
作りこんだ質疑応答集は英語で議論する際の参考書になります。テーマが変わっても言い回しはそのまま使えるので、留学先でもきっと役に立つと思います。
スポンサーリンク急に話す練習をする
留学先での研究の議論は報告会形式の場合もありますが、ほとんどは指導者から話しかけられて急に始まるものです。
「今何やってる?」「あの実験どうなった?」など様々なシーンがあるでしょう。
ですので、自分の言いたいことを英語ですぐに話す瞬発力を鍛える練習は重要です。
これは覚えたことをアウトプットする今までの練習方法とは別の手法が必要です。筆者の場合はカードゲームで練習しました。手順は下記の通り。
急に話す練習がゲーム感覚でできるので楽しいし、客観的な意見ももらえるのですごく勉強になります。科学英語以外にも「今日やった実験」や「最近はまっていること」など日常生活を題材にしても良い練習になりますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下図の通りです。
英語は一朝一夕では身につきません。毎日30分でもいいので英語に触れつづけることが大事です。英語を話すことへの抵抗や恐怖心をまずはなくしましょう。
継続が力になりやすいのが英語学習です。本記事で書いた学習方法を留学に行くまで継続できれば、日々のディスカッションは難なくこなせるようになっていると思いますよ。
以上、留学先でのコミュニケーションが心配な方の助けになれれば幸いです。
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