こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程に興味がある大学生の方々はこんな悩みをお持ちではないでしょうか?
博士号って社会に出てから役に立つのかな?
役に立たなかったら博士課程に進学したことを後悔しそう……
博士号は”足の裏の米粒”という有名な一節をご存知でしょうか?
その心は「取らないと気持ち悪いが取っても食えない」です。
つまり、一生懸命頑張って博士号を取得しても、社会に出てお金を稼ぐ上では役に立たないという印象が世間ではあるようです。
こんな話を聞くと博士課程に興味があっても進学するか悩んでしまいますよね。
ですが、よく考えてください。
昔はそうだったかもしれませんが、今の時代でも果たして同じことは言えるのでしょうか?
最近は働き方改革関連法の施行に代表されるように働き方の多様化が進み、また、人工知能・5Gを始めとした技術進歩も著しいです。
社会構造が劇的に変わっていく昨今、筆者は博士こそがこれからの時代の勝ち組になれると考えています。
博士課程に進学するか悩んでいる学生はもちろん、博士課程の現役学生にも「博士が将来勝ち組になれる理由」をぜひ知ってほしいです。
というわけで、本記事の内容は下記です。
迫りくるジョブ型雇用時代
これからの時代ってどんな時代のこと?
「ジョブ型雇用」という言葉を耳にしたことがありませんか?
現在の日本企業は新卒を総合職として一括採用するのが一般的です。
「総合」職なので職務内容は明確には決まっておらず、また、勤務地も限定されていません。
様々な部署を転々とさせ、その会社の業務なら何でもこなせるジェネラリストを育成する雇用制度です。
一方で、ジョブ型雇用とは新卒一括採用の真逆のような雇用制度です。
企業が職務内容、責任範囲、必要スキル、勤務地・給料等の労働条件、期待目標などを明確に決め、その条件を満たす人材を採用する制度です。
よって、会社都合による部署異動や転勤は起こらず、その仕事のプロフェッショナルが育ちやすい雇用制度です。
実を言うと、欧米を始め世界的に見てもジョブ型採用が一般的な雇用制度です。
数年前、経団連はジョブ型雇用を推進する発言をしており、実際にいくつかの有名企業がジョブ型の人事制度をスタートさせています。
ジョブ型雇用が注目されている背景には様々な社会問題があります。
有名な例は「働かないおじさん問題」ですね。
新卒一括採用は年功序列で給料が決まることが前提なので、働かないおじさんでも高い給料が支払われてしまいます。
決められた業務をこなさないと給料が出ないジョブ型雇用を導入すれば、無駄な人件費を払わなくて済むわけです。
近い将来、日本でもジョブ型雇用が多くの企業で採用される時代に突入すると思われます。
欧米も大昔は新卒一括採用でしたが、企業側が一括採用を続けていくのに限界を感じ、ジョブ型採用に移り変わっていきました。日本も遅かれ早かれ新卒一括採用は廃れていくでしょう。
ジョブ型雇用時代で博士は強い
ジョブ型雇用時代に向けて学生ができることって何?
ジョブ型雇用時代に大学生が良い職に就くためにできることは何でしょうか?
それは、高いスキルを身に付けることでしょう。
今の就活市場は「ポテンシャル」採用であり、「スキル」もあったらいいが基本は会社に入ってから鍛えれば良いという認識です。
しかし、ジョブ型雇用時代は決められた業務をこなせる証明として明確にスキルが求められます。
将来の就活市場では優れたスキルがないとまともな職にありつけない可能性が高いのです。
では、高度なスキルを身に付ける方法とは何でしょうか?
色々あるかもしれませんが、筆者は博士号の取得が非常に有力だと考えています。
なぜなら、博士号はその分野のプロであり、高度なスキルを有する分かり易い証明だからです。
博士課程を通じて身に付けた特定分野における高度な知識と経験や論文出版という実績はジョブ型採用との相性が抜群ですね。
特に、IT分野を専門とする博士は引く手あまたなので、新卒から破格の待遇で採用される可能性が高いですよ。
これからの時代、博士こそが自分の得意を活かして高い給料で働くという理想の就職をしやすい学生になると筆者は思います。
ところで、欧米諸国では博士課程へ進学するのが当たり前で、ポスドクになる人も多いです。
筆者がドイツに留学したときも、訪問先研究室の学生は博士ばかりで、ポスドクになる人も多かったです。
日本ではポスドクになる人は珍しいので、なぜポスドクに行くのかと理由を聞きました。
すると、「その方がより良い就職先に就けるからだ」と当然のように答えられました。
今にして思うと、この会話は日本と欧米の雇用制度の違いをよく表しています。
ジョブ型雇用が一般的になっている欧米諸国では、博士号をとりポスドクまで経験し、自分のスキルと実績を作ることが当たり前なのです。
一方で、新卒一括採用の日本では、時間をかけてスキルを身に付けるより新卒扱いのうちに就職するのが普通です。
「良い職に就くためにポスドクに行く」なんて発想は日本では出てきませんよね(笑)。
将来的に、日本でもジョブ型雇用が普及すれば、欧米と同じく博士号は取って当たり前でポスドクになるのも一般的な社会になると思いますよ。
もちろんジョブ型雇用は日本では広がらないという意見もあります。ですが、新型コロナの影響でリモートワークが急速に普及した昨今、働き方の多様化がより一層望まれる世の中にジョブ型雇用はマッチしています。今の時代の流れを考えるならジョブ型雇用は一般的になるはずです。
大転職時代で博士は強い
将来ジョブ型採用が普及するとしてもまだまだ先の話でしょ。
数年後に卒業する学生は新卒一括採用で入社できるから関係ないのでは?
新卒一括採用で入社できたとしても、ジョブ型雇用普及の影響を受けないわけではありません。
ジョブ型採用は必要に応じて適切な人材を確保する制度であり、人材を自社で1から育てて抱え込む終身雇用とは相反する制度です。
つまり、将来的にジョブ型雇用が一般的になれば終身雇用も崩壊します。
さらにいえば、就職した業務の需要がなくなり事業自体が頓挫した場合は、今のように他部署への異動で雇用は維持させず急に解雇されてしまいます。
その結果、多くの人が人生で何度も転職する「大転職時代」が到来するでしょう。
新卒一括採用&終身雇用で入社できた人にとっても他人事ではなく、安定した正社員という身分は将来なくなるでしょう。
大転職時代で勝ち組になれるのはどんな人でしょうか?
今でもそうですが、転職はポテンシャルよりもスキルや実績が重視されます。
よって、大したスキルや実績がない人は辛い転職活動を強いられます。
自分でもできる職を何とか探す「後ろ向きな転職」しかできないでしょう。
しかしながら、博士のような確かなスキルや実績がある人なら「前向きな転職」が可能です。
安定した正社員という身分がなくなることは博士にとってあまり痛手ではありません。
博士課程時代に朝から深夜まで研究に没頭し鍛えた専門性は他人がそう簡単にまねできるものではなく、一生使える武器と言えます。
博士はむしろ大転職時代を活かして、より自分のスキルを活かせる仕事へとどんどんキャリアアップすればいいのです。
終身雇用を採用している企業はゆるやかに減少し今は5割ほどだそうです。最近では早期希望退職を促す企業のニュースもよく耳にしますね。終身雇用の崩壊は遠い未来の話ではなくなっていますよ。
前編のまとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
あまりにも長くなったので、続きは後編にします(笑)。
後編では「人工知能・デジタル化時代で博士は強い」と「博士号取得はもはや国策である」というテーマついて解説します。
どちらのテーマも知らないと時代に乗り遅れてしまいますよ。
最近始まった博士課程向け奨学金情報もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください!
以上、ご参考になれば幸いです。
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