博士を目指す大学生必見!博士が答える博士課程に関するQ&A集【基礎知識・仕組み・進学編】

博士を目指す大学生必見!博士が答える博士課程に関するQ&A集【基礎知識・仕組み・進学編】悩み
スポンサーリンク

こんにちわ。sakuranokiiです。

博士課程に興味がある大学生の方は博士課程に関して様々な疑問や不安をお持ちかと思います。

とはいえ、先輩の博士課程がいない方もいるでしょうし、先輩の博士課程がいても聞きにくいことはあるでしょう。

そこで、博士号を取得した筆者が博士課程に関するよくある質問に全てお答えします。

本記事では博士課程の基礎知識・仕組み・進学に関するQ&A集を作成しました。

本記事の内容

●テーマ

博士号を取得した筆者が実際の経験に基づき博士課程の基礎知識・仕組み・進学に関する疑問や不安に答える

●主旨

博士課程に進学したい大学院生の疑問や不安を解消し、博士課程に進学するモチベーションを上げてほしい

●読んでほしい人

博士課程に興味がある大学生

スポンサーリンク

基礎知識・仕組みに関するQ&A集

基本事項・仕組みに関するQ&A集

始めに、博士課程の基本事項に関するQ&A集を下記にまとめました。

基礎知識・仕組みに関するQ&A集

Q:博士課程とは何?

A:博士号の学位を取得することを目的とした大学院課程のことです。博士号は世界最高位の学位です。修士課程は修士号の学位を取得する大学院過程で、修士号取得者は博士課程に進学できます。詳しくは過去記事「博士課程とは?修士課程との違い」をご参照ください。

Q:博士課程の読み方は?

A:一般的には「はかせ」かていですが、「はくし」かていでもOKです。また、博士課程は英語で「doctoral course」なので「ドクター」とも呼ばれます。ちなみにドクターの頭文字Dを使って博士課程〇年生をD〇と呼ぶのが通例です。

Q:博士課程の人数は何人?

A:博士課程の在籍者数は全学年で約75000人です。ちなみに博士課程へ進学する学生の割合は同い年の中で1%未満と非常にすくないです。

Q:博士課程在籍人数が多い学部はどこ?

A:最も多いのは医学部です。医学博士というステータスがいまだ根強い人気を誇っているので医学部出身の方は博士課程まで進学する人が多いです。

Q:博士課程で何をすると修了できる?

A:博士課程の修了要件は単位取得に加え、必要な数の論文を発表し博士論文発表会の審査に合格することです。そうすれば博士号の学位が得られます。修士課程との違いは論文執筆が必要なところですね。論文を仕上げるのは大変なので博士課程修了の難易度は修士課程とは段違いです。

Q:博士課程修了に必要な論文の本数は?

A:博士課程修了に必要な論文数は大学や専攻によって変わりますが、平均は2~3報かと思います。少なくとも論文なしで修了はできないですね。

Q:博士課程は何年間在籍しますか?

A:4年制学部なら3年間で、6年制学部なら4年間が標準修業年限です。大学は基本的に4年制学部が多いので3年在籍するのが普通です。

Q:博士課程は延長可能?

A:指導教員と相談の上ですが、延長可能です。標準修業年限以内に必要な論文数を出せなかった場合に延長しますね。令和2年度博士課程の専攻分野別入学年度別卒業者数によると、博士課程に7年以上在籍した人もいるそうです。文系博士(特に人文科学系学科)は延長する割合が高いです。詳しくは過去記事「博士課程は何年?学科ごとの違いを解説」をご参照ください。

Q:博士課程は最短何年で修了できる?

A:博士課程は短期修了も可能ですので最短2年で修了できます。ただ、2年で単位を全て取得し論文数報を書き上げるのはとても大変です。よほどの理由がない限り辞めた方がいいでしょう。短期修了するぐらいなら自分のやりたいテーマを試したり、海外留学した方が充実した博士課程を過ごせると思いますよ。

Q:博士課程を修了したときの年齢は?

A:標準修業年限が3年であれば27歳、4年であれば28歳で修了します。

Q:博士課程でも学費は払う?

A:博士課程は講義がほとんどないので学費が無料なんてことはなく、それまでの課程と同額の学費が請求されます。ただし、博士課程は学費免除制度が学内で用意されている場合が多いのでご安心ください。

Q:博士課程にはいくつか種類がある?

A:大学によって博士課程は「博士後期課程」「5年一貫性博士課程」「後期3年博士課程」と異なる呼称で呼ばれますが中身は同じです。課程の呼称によって標準修業年数が変わることもないです。

Q:博士課程を中退する人って多い?

A:多くはないですが諸事情で中退する人はいます。博士号はとれませんが、博士課程中退でも修士号はもっているので普通に就職することは可能です。

Q:博士課程を単位取得退学するってどういう意味?

A:単位は全て取得したが博士号取得に必要な論文は書けずに退学するという意味です。博士課程を満期退学したとも言われます。博士課程を修了したわけでないので満期退学した人の最終学歴は修士となります。しかし、博士課程に進学し研鑽を積んだことをアピールするために履歴書には「〇〇大学院博士課程単位取得退学」と表記します。日本独自の慣習で海外では一般的ではありません。

Q:博士課程に在籍せず学位がとれる論文博士とは何?

A:博士の学位には論文博士と課程博士の2種類があります。課程博士は大学院の博士課程に在籍し一定の修了条件(単位取得と博士論文審査合格)を満たした人がなれる博士です。一般的にイメージされる博士ですね。一方で、論文博士は博士課程に在籍しなかったが博士学位を授与された人と同等以上の学力があると認められ、かつ、大学の博士論文審査に合格した人がなれる博士です。大学ではなく企業などの研究所で独自に成果を上げた人がなれる珍しいタイプの博士ですね。論文博士は日本独自の制度なので、諸外国の学位制度と合わせるためには将来的に廃止するべきではないかという意見もあるそうです。

sakuranokii
sakuranokii

上記質問のより詳しい解説が見たい方は「博士課程とは?修士課程との違い」「博士課程は何年?学科ごとの違いを解説」をご覧ください。

スポンサーリンク

進学に関するQ&A集

進学に関するQ&A集

続いて、進学に関するQ&A集を以下に示します。

進学に関するQ&A集

Q:博士課程にはどうやったら進学できる?

A:修士号の学位を取得し、博士課程進学者向けの入試に合格すれば進学できます。

Q:博士課程の入試の難易度は高い?

A:簡単に合格できます。正直に言うと定員割れしている大学がほとんどなので倍率は非常に低く、よほどひどい成績でなければパスできます。博士課程の合格率はほぼ100%かと思います。

Q:博士課程の入試ってどんな試験?

A:大学院によって異なります。ペーパーテストとして専門科目試験を課す大学もあれば、英語試験のみの大学もあります。面接試験は基本的にあります。修士課程での研究をプレゼンしたり、進学への意気込みを聞かれたりします。

Q:博士課程入試の募集要項はどこで確認できる?

A:各大学院研究科のHPから誰でも確認可能です。修士課程進学者向けの募集要項とは別になりますのでご注意ください。研究科によっては過去問も閲覧可能です(解答解説はないですが)。

Q:博士課程の入試に落ちるとどうすればいい?

A:後期受験(2次募集)を受けましょう。1月~2月ごろに試験が実施されます。

Q:博士課程への進学率はどれくらい?

A:大学の学部卒業者のうち博士課程まで進学するのは約1%です。また、修士課程から博士課程への進学率は約9.4%です。各学部および各専攻ごとに進学率は大きく異なります。詳しく知りたい方は過去記事「博士課程への進学率ランキング~学部・専攻別に徹底比較~」をご参照ください。

Q:博士課程に文系で進学する人っている?

A:いますが非常に珍しいです。文系の学部卒業者で博士課程に進学する人の割合は1%未満です。

Q:博士課程へ進学する人は減少している?

A:博士課程への進学者数は近年減少傾向にあります。経済的理由・将来への不安等が主な理由です。博士課程は日本の科学技術・イノベーションの将来を担う存在ですので政府は由々しき事態と捉えています。そこで、博士課程進学への魅力を向上させるために経済支援+就職支援をする奨学金制度を最近スタートしています。詳しくは過去記事「文部科学省が始める博士課程の新たな経済的支援制度まとめ」をご覧ください。

Q:博士課程に進学するとどれほど費用がかかる?

A:修士課程と同じ大学なら入学金は不要なので、授業料3年分として約150万円(国公立大学の場合)+生活費3年分として約450万円(年150万円の場合)で計600万円ぐらいですね。ただし、授業料は減免措置もあるので実際はもっと低いでしょう。

Q:博士課程に向いている人ってどんな人?

A:博士課程に向いている人の共通点は重要度順に「強い向上心がある」「好奇心旺盛」「自分を持っている」「ポジティブ」ですね。これらの特徴がある人は博士課程で充実した生活を送れるでしょう。そう考える理由などの詳しい内容は過去記事「博士課程進学に向いている人」をご参照ください。

Q:博士課程に進学するメリットは?

A:個人的に一番大きなメリットは「自分に自信がつくこと」です。長い人生で壁にぶつかることは多々あると思いますが、強い自信はそういった苦境に対応する原動力となります。他にもメリットはありますが、詳しくは過去記事「奨学金に落ちたら読む記事」を参照してください。筆者は社会人になってから何度も博士課程での経験やスキルに助けられました。将来の自分は博士課程に進学した自分に必ず感謝すると思いますよ。

Q:博士課程への進学を親に反対されたらどうしたいい?

A:親の意見は参考程度にして自分の進路は最終的に自分で決めましょう。自分の納得する進路が正解です。親以外の周りの人に博士課程はやめとけと言われても同じです。どうしても説得する必要がある場合は説得の仕方を工夫しましょう。お金関係が問題なら過去記事「文部科学省が始める博士課程の新たな経済的支援制度まとめ」や「博士課程修了者の給料事情」を、就職関係が問題なら過去記事「博士課程進学者の就職は不利か?」を、進学のメリットを伝えたいなら過去記事「奨学金に落ちたら読む記事」が参考になると思います。誠心誠意伝えれば応援してもらえるはずです。

Q:博士課程に社会人になってから出戻りするのはあり?

A:いわゆる社会人ドクターは筆者としてはあまりおススメしません。博士課程を働きながら修了するのはかなり大変ですので。実際に筆者の部署にいた社会人ドクターの方は体調を崩して倒れました(後に博士号は無事に取られました)。博士号をとるなら学生のうちに取得することを筆者はお勧めします。

Q:博士課程へ進学したら人生終了するって本当?

A:そんなことはないです。巷では博士課程に進学すると働き口が見つからずワーキングプアになるとかニートになるとか言われていますが一部の例です。博士課程に進学する=就職に困るは大嘘ですのでご安心ください。詳しくは過去記事「博士課程進学者の就職は不利か?」「博士課程への進学は人生終了?~博士の進路調査の結果解説~」をご参照ください。

Q:博士課程進学に漠然とした不安があるけどどうしたらいい?

A:進学する前から自信満々の人はいないので不安なのが普通です。逆に修士課程で卒業して企業でバリバリ働ける自信はあるのでしょうか?筆者も博士課程に進学する前は漠然と不安でしたが、進学後は研究に没頭しすぐに忘れました(笑)。目の前の研究を楽しんでいれば不安はいずれ消えると思いますよ。

Q:博士課程に進学するのは一部の天才だけ?

A:全くそんなことはないです。皆初めは普通の修士生ですよ。確かに優秀な博士の先輩方は才能のある人に見えるかもしれませんが、初めから才があったわけではなく、進学前は普通の人が進学後の努力の結果すごい人になったのです。そもそも修士の段階で自分に研究の才能があるかなんて分からないと思いますよ(笑)。

Q:成績優秀でないと博士課程に進学しないほうが良い?

A:全くそんなことはないです。それまでの学業成績はあまり関係ないです。もちろん成績が良いに越したことはないですが、博士課程で重要なのは座学の成績よりも研究への熱意です。博士課程で研究に打ち込めばそれまでの差はすぐに埋まりますよ。

Q:博士課程に飛び級で進学できる?

A:大学の研究科によっては修士課程を短期修了し博士課程に飛び級する制度があります。ただ、よほどの理由がない限りは飛び級するメリットはないと思います。急いで短期修了するぐらいなら自分が試したいテーマをやり尽くした方が有意義な学生生活を送れますよ。

Q:博士課程から専攻変更するのはあり?

A:ありですがおススメはしないです。知識や経験の蓄積がない別分野に飛び込んで数年で論文を出すのはかなり大変かと思いますので。

Q:博士課程から他大学へ編入することって可能?

A:可能です。他大学にどうしても行きたい研究室があるなら博士課程進学をきっかけに別の大学に変えるのはありだと思います。ただし、新しい研究室で標準修業年限内に論文を数報を出すのは大変だということは覚悟しておいてください。

まとめ

博士課程に関する不安や疑問は解消されましたでしょうか?

人間誰しも多くの人と違うことをするときは不安を感じるものです。

なので、博士課程への進学に関して不安なことがあるのは問題ありません。

問題なのは、進学に関して不安なことを放置したまま何もしないことです。

不安を解消するため「本記事を読む」という行動をした皆様は、博士課程に進学してからもきっと上手くやれると思いますよ。

本記事の続編【就職・奨学金・給料編】【悪い面・研究室生活・英語編】もぜひご覧ください!

以上、ご参考になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました