こんにちわ。sakuranokiiです。
前記事に引き続き、海外留学に興味がある博士課程の疑問や悩みに答えていこうと思います。
本記事で回答する疑問は下記です。

海外留学する博士課程の学生向けの奨学金制度ってあるの?
留学は飛行機代や宿泊費などで多額のお金がかかります。
さらに、留学先で人気のヨーロッパやアメリカは日本よりも物価が高いので生活費も想像以上にかかります。
つまり、留学するためにはある程度のまとまったお金がどうしても必要なのです。
幸いなことに、世の中には留学する学生を支援する奨学金制度がたくさん存在します。
その中にはもちろん博士課程の学生でも使える制度はあります。
留学に行きたいけれどお金に余裕がなくて困っている博士課程の方は、これらの奨学金制度を活用しない手はありませんね。
というわけで、本記事の内容は下記です。
●テーマ
留学経験者の筆者が博士課程の学生が短期留学する際に使える奨学金制度をまとめて紹介
●主旨
留学に行きたいけれどお金に余裕がなくて困っている博士課程の学生に便利な奨学金制度を知ってほしい
●読んでほしい人
留学に興味がある博士課程、留学予定の博士課程
若手研究者海外挑戦プログラム


留学する博士課程に一番お勧めの奨学金制度って何?
最もお勧めできる短期留学用の奨学金制度は「若手研究者海外挑戦プログラム」です。
本制度は日本学術振興会が主催する留学用奨学金で博士課程の学生だけが応募できます。
まさに留学したい博士課程の学生にはうってつけの制度ですね。
本制度の概要を下記にまとめました。
○応募条件
・博士課程1~2年生もしくは来年度から博士課程に進学予定の修士2年生
・3ヶ月以上の研究のための海外留学経験がない学生
・3ヶ月から1年までの短期留学が対象
・人文学、社会科学および自然科学の全分野が対象
○募集人数
合計140名ほど
○応募時期
・年2回の募集がある
・募集要項の公開は7月
・第1回目は7月~9月中旬までに申請書提出(2022年度分は2021年7月~9月16日まで)
・第2回目は3月~4月中旬までに申請書提出(2022年度分は2022年3月~4月15日まで)
*各大学で取りまとめるため、実際の締め切りは大学次第
○審査内容
・4人の専門分野の審査員による2段階の申請書の査読審査
*留学先で実施予定の研究内容や海外で研究する必要性や意義などについて記述
*挑戦性・進展性、研究計画、研究者としての能力・将来性及び総合面から評価
・第1回目は12月頃、第2回目は7月頃に結果が通知される
○支援内容
・往復航空賃
・滞在費100~140万円(滞在国によって異なる)
・研究活動費(最大20万円、留学先機関の請求書に基づき支給)
○採用者の義務
・留学終了後に報告書を作成し提出
・研究倫理に関する講習を受講
・採用終了後の現況調査への協力
本制度の特徴は「まともな留学経験がない学生を優遇している」「年2回の応募機会がある」「破格の支援金額」の3つです。
特に支援内容はとても充実しており、往復航空賃に加えて滞在費として100万円以上が支給されるのは嬉しいですね。
申請書に記載する内容から考えると、合格するコツは留学先研究室と研究テーマについて出来るだけ詳しく議論しておくことですね。
可能であれば、共同研究のようなテーマであれば審査員の受けが良いかと思います。
短期留学予定の博士課程学生にとってはこれ以上ない好条件の奨学金ですので、ぜひとも応募しましょう。

若手研究者海外挑戦プログラムは留学者が応募できる日本学術振興会特別研究員のような制度ですね。申請書の内容や採用者の義務も近いものを感じます(笑)。学振と同じように不採用の場合におおよその順位が開示されますので、次回の応募の参考にしましょう。
トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム大学生等コース


奨学金といえば日本学生支援機構(JASSO)だけど、
JASSOは留学用の奨学金は出してくれないの?
奨学金で有名なJASSOは留学したい大学生向けの奨学金制度も用意しています。
その名も「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム大学生等コース」です。
本制度の概要を下記にまとめました。
○応募条件
・大学、大学院、短期大学、高等専門学校(第3年次以上で専攻科を含む)、専修学校(専門課程)に在籍する学生
・JASSOの第二種奨学金に掲げる家計基準を満たす学生
・上記家計基準を超える学生も応募可能だが採用人数は少ない(詳しくは募集人数参照)
・28日以上1年以内の短期留学が対象(8月~来年3月末までに開始する留学が対象)
・人文学、社会科学および理系分野に加え複合・融合系分野も対象
・スポーツや芸術活動、起業、地域活性化などを目的とした留学でも対象
・過去に本制度に採用されていない学生
○募集人数
・合計400名ほど(理系・複合分野系180名、人文・社会科学系140名、分野限定なし80名)
・上記のうち1割はJASSOの第二種奨学金に掲げる家計基準を超える者を採用
○応募時期
・2月頭から2月下旬(2021年度分は2月1日~26日まで)
・実際は各大学で取りまとめるため、締め切りは各大学ごとに決定
○審査内容
・1次審査として書面審査、2次審査として面接審査を実施
*留学先で行う学習活動の目的・内容・発展性・実現可能性について審査
*計画内容よりも求める人材像にマッチしているかを重視
・6月中旬に採用結果が通知される
○支援内容
*JASSOの第二種奨学金に掲げる「家計基準を満たす」学生の場合↓
・留学準備金としてアジア地域への留学の場合は15万円、その他の地域は25万円支給
・留学中は毎月12~16万円(留学先国による異なる)を支給
・授業を受ける場合は一律30万円
*JASSOの第二種奨学金に掲げる「家計基準を超える」学生の場合↓
・留学準備金としてアジア地域への留学の場合は15万円、その他の地域は20万円支給
・留学中は毎月6万円を支給
・授業を受ける場合は一律30万円
○採用者の義務
・事前研修と事後研修への参加
・派遣留学生ネットワーク(留学機運醸成のための活動、支援企業等に対する留学計画や活動報告・成果等の情報の提供を含む)への参加
・事後研修後の留学状況報告書の提出
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムの特徴は「経済的負担が大きい学生を積極的に支援している」「学業以外の目的の留学も支援している」「事前・事後研修がある」の3つですね。
特に、家庭の都合でお金に余裕がないけど留学に行きたい学生にとってありがたい制度です。
ただし、JASSOの第二種奨学金に掲げる家計基準を超える学生も採用枠は少ないですが応募することは可能です。
家計基準を超えるか満たすかで応募するコースが異なるのでご注意ください。
審査では人物像がより重要視されるので、受かるコツは募集要項記載の求める人材像にいかに自分がマッチしているかをアピールすることですね。
恥ずかしがらずに堂々と自分のポテンシャルの高さを訴えかけましょう。

他の奨学金も受けている場合、本制度の奨学金との併給は認められない場合があるので必ず問い合わせましょう。ちなみに、本制度よりも高額の留学用奨学金を受けとる学生はそもそも応募不可ですのでご注意を。
海外留学支援制度(協定派遣)


JASSOは他にも留学用の奨学金を実施してないの?
実はJASSOが主催している留学用奨学金は1つだけではありません。
給付型奨学金としては「海外留学支援制度(協定派遣)」という制度もあります。
海外留学支援制度(協定派遣)の概要を下記にまとめました。
○応募条件
・大学、大学院、短期大学、高等専門学校(第3年次以上で専攻科を含む)、専修学校(専門課程)に在籍する学生
・JASSOの第二種奨学金に掲げる家計基準を満たす学生
・申請した留学プログラムがJASSOに採択された大学等に所属する学生(2021年度は約230校)
・1年以内の短期留学予定の学生
・JASSOの成績係数(3.0満点)が2.3以上の学生を対象とする大学が多い
○募集人数
・各大学による異なる
例)横浜国立大学では15プログラム採択されており合計266名が受給
○応募時期
・各大学で取りまとめるため、締め切りは各大学ごとに決定
例)慶應義塾大学では5月上旬
○審査内容
・各大学ごとに異なる
例)経済状況を重視する大学が多い
○支援内容
・渡航支援金として32万円
・留学中は毎月6~10万円(留学先都市による異なる)を支給
○採用者の義務
・留学前および留学後報告書の提出
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムと同様に本制度も経済的に余裕がない家庭の学生にとってありがたい制度です。
また、本制度は200以上の大学が対象となっており、2021年度には17000人以上も支援している大規模な奨学金制度です。
応募条件に合致すれば比較的合格しやすい奨学金制度と思われます。
興味がある学生はまず、自分の大学の海外留学プログラムがJASSOに採択されているかを確認しましょう。

上記2つ以外にもJASSOは短期留学者向けに貸与型(借金)の奨学金制度も用意していますよ。また、JASSOは他にも海外大学で学位を取得したい学生向けに給付型奨学金制度を実施しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
● 最もお勧めできる博士課程向けの短期留学奨学金は「若手研究者海外挑戦プログラム」
● JASSOの留学奨学金「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム大学生等コース」 もお勧め
● 経済的に余裕がない家庭の学生ならJASSOの「海外留学支援制度(協定派遣)」がお勧め
短期留学したい博士課程の学生はとりあえず「若手研究者海外挑戦プログラム」に応募するでOKです。
JASSOの第2種奨学金に掲げる家計基準を満たすなら「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」や 「海外留学支援制度(協定派遣)」 への応募も並行して準備すると良いでしょう。
本記事で紹介した以外にもお勧めの奨学金制度がありますが、長くなったので次記事で解説します。
興味がある方はぜひご覧ください!
以上、ご参考になれば幸いです。
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