こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程への進学を考えている学生にとって、この悩みは常に付きまといますよね。
博士課程の支援制度について知りたい・・・
経済的な支援がもらえないと進学を決断できないよ・・・
博士課程への進学者は3年以上の学費や生活費を用意する必要があります。
この経済的負担が博士課程への進学を躊躇する主要な要因のひとつとなっています。
経済的負担軽減の代表例としては、TA等の給料や日本学生支援機構からの奨学金、大学の授業料の減免措置が挙げられます。
一方で、現在ではそれら以外にも様々な博士課程学生の支援制度があり、昔よりも経済的支援を受けるチャンスは増えています。
本記事では、博士課程進学者への経済的支援について、文部科学省が主催している主要な奨学金制度について解説いたします。
本記事を読めば、より充実した経済的支援を受けるために、博士課程学生がまずやるべきことが分かります。
博士課程への進学を考えている大学生の方に是非読んでほしいですね。
経済的支援制度の種類
博士課程の学生が受けられる経済的支援ってどんな種類があるの?
文部科学省が主導した「令和元年度 博士課程学生の経済的支援状況に係る調査研究」によると、経済的支援(貸与型の奨学金=借金を除く)を受けている学生の割合は約50%です。
その50%の学生の大部分は「TA等の給料」「日本学生支援機構からの奨学金(返還免除者のみ計上)」「授業料の減免措置」といった代表的な学生支援制度から給付を受けています。
しかし、それ以外の独自の経済的支援を受けている学生も一定数いるとの調査結果が出ています。
留学生しか応募できない制度を除き、利用者が多い順に並べると下記のとおりです。
独自の支援制度 | 人数(割合*) |
---|---|
大学独自の奨学金制度 | 2254人(25.8%) |
日本学術振興会特別研究員 | 1921人(21.9%) |
民間団体(企業等)等の奨学金制度 | 959人(11.0%) |
博士課程教育リーディングプログラム | 630人(7.2%) |
卓越大学院プログラム | 43人(0.5%) |
このうち、文部科学省が管轄する下記3つの制度について本記事ではご紹介します。
- 日本学術振興会特別研究員
- 博士課程教育リーディングプログラム
- 卓越大学院プログラム
これらの制度は応募すれば全員が支援を受けられる制度ではありませんが、その分支援内容が非常に充実しています。
博士課程の学生がより充実した経済的支援を受ける際の第一候補となりますので、しっかり押さえておきましょう。
博士課程の学生全体のうち、生活費相当額(年180万円以上)を得ている学生は約1割しかいません。大体の学生の受給額は年60万円未満で、学費分は賄える程度です。国は年180万以上の支援を受ける博士課程学生の割合を2割に引き上げることを今後の目標としています。政府の今後の動向に注目ですね。
日本学術振興会特別研究員(DC)
DCは博士課程支援制度の中でも非常に有名で利用者も多いです
名前ぐらいは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
来年度のDC申請に関する情報をまとめました。
DCは年間240万円と高額な給付金が頂けるだけでなく、研究室へ毎年150万円以内の研究費も支給されます。
よって、学生本人だけでなく教員もDCに合格させるために必死になります(笑)。
人気があるので採用倍率は高く、合格率は約20%の狭き門です。
修士課程2年時・博士課程1年時・2年時とチャンスが3回あるのが特徴ですので、一度で合格しなくても諦めないでくださいね。
DCへの応募は博士課程進学者がほぼ全員経験することですので、概要だけでも早いうちから知っておきましょう。
DCは学生でありながら研究員として働いている身分です。従って、給付金=給料ですので実は税金が引かれます。240万円そのまま頂けるわけではないのでご注意を。一方で、DCは職歴として履歴書に書くことができるため、就活でのアピールポイントにできますよ。
博士課程教育リーディングプログラム
博士課程教育リーディングプログラムは、各大学が独自の博士課程教育カリキュラムを日本学術振興会に提案し、審査を経て採択された大学独自の教育プログラムのことです。
平成25年度で大学への公募は終了していますが、発足したプログラムの一部は今でも継続され、大学独自の博士課程の支援制度として存続しています。
大学独自のプログラムですが、博士課程教育リーディングプログラムに共通する特徴があります。
・修士課程1年から経済的支援を受けられる
・専門分野以外の学問を集中して学ぶ機会がある
・異なる環境(企業や海外等)で研究する経験ができる
他の博士課程支援とは異なり、経済的支援だけでなく、博士課程学生の能力向上に重きを置いているプログラムですね。
今までに合計61のプログラムが採択されており、支援の対象大学は以下の通りです。
1例として、大阪大学の「インタラクティブ物質科学カデットプログラム」についてご紹介いたします。
上記はあくまで1例であり、各プログラムによって募集要項は様々です。
修士1年からでなくても、修士2年や博士途中参加が可能なプログラムもあるので、現在修士1年や2年の方も諦めるのは早いです。
応募したい方は「博士課程教育リーディングプログラム 〇〇大学」と検索し、自分の学科から応募可能なプログラムはあるのか、募集要項はどうかを調べることから始めましょう。
筆者の主観ですが、リーディングプログラムは比較的合格しやすいと思います。というのも、4年生の段階から博士号を取得したいと考えている学生はかなり珍しいので競争率が低いためです。実際、筆者の同期・後輩たちは全員合格していましたよ。博士課程に進学するかは早く決めた方がメリットが大きいですね。
卓越大学院プログラム
卓越大学院プログラムはリーディングと同じく、各大学が独自の教育カリキュラムを日本学術振興会に提案し、その理念に合うプランが採択されています。
卓越大学院プログラムの特徴は下記のとおりです。
・平成30年度からスタートした新しい支援制度
・リーディング同様、修士1年から支援を受けられる
・起業家リーダー育成のため、技術の社会実装プロセスを学ぶ機会がある
現在、合計30のプログラムが進行中で、支援の対象大学は下記の通り。
1例として、名古屋大学の未来エレクトロニクス創成加速DII協働大学院プログラムを紹介します。
各大学が自身の強みを活かしたカリキュラムが多種多様にあります。
興味のある学生は「卓越大学院プログラム 〇〇大学」で早速検索してみましょう。
リーディングもそうですが、メインの研究を進めながら数多くの独自カリキュラムをこなすのは大変です。
ですが、どのカリキュラムも各大学が工夫を凝らし、厳しい審査に合格した教育計画なので、きっと貴重な経験になりますよ。
卒業する頃には周りの博士課程の学生より1歩も2歩も成長した自分に出会えるはずです。
DCやリーディング、卓越から同時に経済的支援を受けるのはNGです。基本的に複数の支援制度を同時に受けるのは避けたほうが無難ですね。それでも受けたいなら各制度の募集要項やHPのよくある質問集をチェックして問題ないか確認しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。
本記事で取り上げた文部科学省の支援制度3つはノーリスクハイリターンなのでぜひ受けてみましょう。
たとえ受からなかったとしても得られるものはあります。
支援制度へ応募するたびに、文章作成能力、研究企画力、プレゼン力といった研究者に必要なスキルが自然と養われます。
支援制度はこの他にも探せばまだまだあります。
支援を勝ち取るまで何度も挑戦すればいいのです。
挑戦するたびに合格する可能性はどんどん上がるのですから、行動あるのみですよ!
以上、ご参考になれば幸いです。
コメント