こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程に関心がある方はこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
博士課程への進学率ってどれくらいだろう?
学部や専攻によっても違うのかな?
博士課程への進学率と言われても「何となく低いのだろう」ぐらいの印象しかないと思います(笑)。
世間的には博士課程への進学率がどれくらいかはほとんど知られていないでしょう。
本記事では、国の統計情報をもとに博士課程への進学率を学部別・専攻別にまとめました。
本記事を読めば、自分が所属する学部・専攻の博士課程への進学率が分かるので、博士課程に興味がある方が進路を考える上で参考になると思います。
また、自分と同じ進路を歩む人が全国にどれくらい存在するのかは、自分の希少価値を把握する上でも知っておいて損はないですよ。
各学部の進学率ランキング
博士課程への進学率が高い学部ってどこなの?
各学部に関して博士課程への進学率を高い順に並べました。
ここで、博士課程への進学率は「修士課程から博士課程への進学率(A)と学士から修士課程への進学率(B)の積」として本記事では定義しました。
つまり、学部卒業者のうち博士課程に進学する学生の割合を計算しました。
また、基準として全学部の平均進学率も算出しています。
学部 | 博士課程への 進学率(A×B) | 修士から博士課程への 進学率(A) | 学士から修士課程への 進学率(B) |
---|---|---|---|
理学 | 6.6% | 16.4% | 40.1% |
農学 | 2.4% | 10.6% | 22.4% |
工学 | 2.0% | 5.8% | 35.4% |
商船学 | 1.6% | 7.7% | 20.9% |
全学部平均 | 1.0% | 9.4% | 10.1% |
人文科学 | 0.63% | 16.3% | 3.9% |
芸術 | 0.45% | 5.8% | 7.7% |
教育 | 0.39% | 8.6% | 4.5% |
家政 | 0.25% | 10.4% | 2.4% |
社会科学 | 0.17% | 8.2% | 2.1% |
最も博士課程への進学率が高いのは理学部です。
約15人に1人が博士課程に進学するようです。
一方で最も博士課程への進学者数が少ないのは社会科学系の学部ですね。
約600人に1人しか博士課程に進学しないようです。
また、全学部を平均した博士課程への進学率は約1.0%です。
つまり、大学生の約100人に1人は博士課程に進学するようですね。
全学部の平均値を境にきれいに理系と文系で別れましたね(笑)。イメージ通り理系は博士課程への進学率が高く、文系は進学率が低いようですね。
各専攻の進学率ランキング
博士課程への進学率が高い専攻ってどこなの?
学部ごとの平均値よりも各専攻別の進学率の方がより身近な値なので参考になるかと思います。
そこで、各専攻に関しても博士課程への進学率を計算し、高い順に記載しました。
学部 | 専攻 | 博士課程への 進学率(A×B) | 修士から博士課程 への進学率(A) | 学士から修士課程 への進学率(B) |
---|---|---|---|---|
工学 | 金属工学 | 16.0% | 16.0% | 100% |
理学 | 物理学 | 12.6% | 23.7% | 53.0% |
理学 | 化学 | 8.2% | 14.9% | 55.2% |
理学 | 生物学 | 6.5% | 15.7% | 41.3% |
工学 | 応用理学 | 6.4% | 13.0% | 49.1% |
理学 | 地学 | 6.3% | 16.7% | 37.7% |
理学 | 数学 | 4.6% | 18.2% | 25.1% |
工学 | 原子力工学 | 4.1% | 13.2% | 31.3% |
工学 | 応用化学 | 3.9% | 7.7% | 49.8% |
農学 | 農芸化学 | 3.6% | 12.7% | 28.4% |
農学 | 林学 | 3.0% | 10.8% | 28.0% |
農学 | 農学 | 2.7% | 10.7% | 25.4% |
農学 | 水産学 | 2.4% | 9.4% | 25.8% |
工学 | 航空工学 | 2.1% | 11.3% | 19.0% |
工学 | 電気通信工学 | 1.8% | 5.5% | 33.8% |
工学 | 機械工学 | 1.6% | 4.0% | 40.0% |
商船 | 商船学 | 1.6% | 7.7% | 20.9% |
農学 | 農業経済学 | 1.57% | 20.0% | 7.9% |
工学 | 繊維工学 | 1.56% | 2.7% | 56.8% |
人文科学 | 史学 | 1.14% | 22.9% | 5.0% |
工学 | 土木・建築工学 | 1.10% | 4.7% | 23.5% |
芸術 | 音楽 | 0.98% | 6.3% | 15.6% |
農学 | 獣医学畜産学 | 0.962% | 11.5% | 8.4% |
全体平均 | – | 0.957% | 9.4% | 10.4% |
農学 | 農業工学 | 0.78% | 8.3% | 9.4% |
芸術 | 美術 | 0.75% | 5.3% | 14.3% |
人文科学 | 哲学 | 0.72% | 7.9% | 9.1% |
工学 | 工芸学 | 0.65% | 8.3% | 7.8% |
社会科学 | 法学・政治学 | 0.59% | 13.3% | 4.4% |
教育 | 教育学 | 0.57% | 13.6% | 4.2% |
工学 | 経営工学 | 0.53% | 3.2% | 16.6% |
教育 | 体育学 | 0.44% | 12.9% | 3.4% |
家政 | 食物学 | 0.39% | 15.1% | 2.6% |
教育 | 教育養成 | 0.38% | 4.6% | 8.3% |
人文科学 | 文学 | 0.36% | 17.4% | 2.1% |
社会科学 | 社会学 | 0.21% | 9.6% | 2.1% |
芸術 | デザイン | 0.13% | 3.5% | 3.8% |
家政 | 児童学 | 0.12% | 11.1% | 1.1% |
社会科学 | 商学・経済学 | 0.10% | 7.0% | 1.5% |
家政 | 被服学 | 0.09% | 6.3% | 1.5% |
金属工学は珍しい専攻で人数が少ないので年によってばらつきが大きそうですが、令和2年度では第1位でした。
2位と3位はともに理学部で、それぞれ物理学と化学がランクインしました。
こちらはイメージ通りですね(笑)。
進学率0%の専攻を抜きにすると、最も博士課程への進学者数が少ない専攻は家政学部の被服学でした。
ワースト2位と3位はそれぞれ商学・経済学部と家政学部の児童学がランクインです。
自分の所属する専攻の進学率がどれくらいかチェックしてみてくださいね。
理系は学部→修士課程への進学率が修士→博士課程への進学率より高い傾向にある一方で、文系は学部→修士課程への進学率より修士→博士課程への進学率が高い傾向にありますね。文系では修士課程に進学すると博士課程まで進学する方が多いのでしょう。
医学・歯学・薬学部の進学率
医学・歯学・薬学部の進学率はなぜ記載がないの?
医学部および歯学部を卒業した方は基本的に研修医になります。
その後、博士号を取得したい方は大学院に復学する流れが一般的です。
上節で使った資料では、研修医を経由せず直接大学院に進学した非常に珍しい方の割合しか分からないので記載しませんでした。
また、薬学部に関しては6年制(薬学科)と4年制(薬科学科)で大学院の仕組みが異なり、6年制学部卒業者は直接博士課程へ、4年制学部卒業者は修士課程へ進学します。
ところが、上節の資料では単に「進学者」としか書かれておらず、薬学部に関しては博士課程への進学者なのか修士課程への進学者なのか不明だったので進学率は計算できませんでした。
ですが、本記事を作成する上で医学・歯学・薬学部の進学率も何とか推測したいという気持ちはありました(笑)。
色々考えたところ、ある学部の「博士課程への入学者数÷学士課程の卒業者数」は概ねその学部の博士課程への進学率と一致するのではないかと考え、この計算式で進学率を概算しました。
幸いなことに博士課程への入学者数は参考にした資料④に明記されていました。
学部 | 博士課程への進学率概算値 |
---|---|
医学部 | 40.9% |
歯学部 | 34.4% |
薬学部 | 5.2% |
医学部・歯学部は他の学部に比べて桁違いに進学率が高いですね。
薬学部も理学部に次いで進学率は高そうです。
あくまで概算の進学率ですが、一般的に医学博士や歯学博士は人数が多いことを考えると本来の進学率からそこまで外れていないのではないでしょうか?
以上、ご参考までに。
上記の算出方法で他の学部の進学率も計算しました。各学部の進学率の序列は本来の値と概ね一致しますが、全体的に本来の値より少し大きく見積もられるようです。社会人ドクターなどの不確定要素が影響しているのかと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると以下のようになります。
進学率は進路を考える上で重要な情報ですが、それだけで決めるのは安直だと思います。
実際、進学率は捉え方1つで高くても低くても進学へのモチベーションになります。
例えば、進学率が高いなら、全国に同期がたくさんいるので安心して進学できます。
進学率が低いなら、多くの人が知らない世界を知れるから進学するべきです。
進学率は1つの参考として、自分の心の声にじっくり耳を傾けて進路は決めましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
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