こんにちわ。sakuranokiiです。
企業で研究職に就きたい博士課程の方はこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
日本企業の研究職は修士がメインだけど、
修士と比べて企業が博士に求めることって何だろう?
学生の頃は企業での研究現場もよく知らないので、企業が博士に期待することなんて分からないですよね。
インターンなどで企業の方と話す機会があっても、就活生に対しては本音で言えないこともあります(笑)。
とはいえ、将来的に企業で研究職に就きたい博士課程の方は、企業が博士に本当に求めていることは就活する上で知っておくと有利です。
というわけで、本記事の内容は下記です。
業務に慣れる早さ
企業が博士に求めることって何?
本記事では企業が修士と比較して博士に求めることを4つお示しします。
1つ目は「業務に慣れる早さ」です。
修士と博士で任される仕事を区別されることは基本ありません。
修士も博士も入社当初は同じスタートラインから業務が始まります。
ですが、博士には修士よりも速いスピードで一人前になることが要求されます。
例えば、博士の新入社員は早々に材料の改良案を出すように言われるし、他部や顧客とのやり取りを早い段階からやらされる傾向にありますね。
企業は博士の「知識の吸収力の高さ」や「論理的思考力の高さ」に期待していると思われます。
大学時代の専門とマッチした業務でなくても関係なく慣れる早さは求められますので、博士課程の方は覚悟しておいてください(笑)。
自分が担当するテーマが分かり次第、博士は自主的に書籍を買ったり論文を読んだりして勉強することをお勧めします。
「修士と博士でやる仕事は大して変わらないよ」と筆者は学生のころ企業の方から聞いたことがありました。確かに大して変わりませんが、求められる仕事の質は早い段階から高いレベルを要求されましたね(笑)。
困難な課題を解決する力
業務に慣れた後は何が博士に求められるの?
通常業務に慣れた博士には次のことが期待されます。
それは企業が博士に求めること2つ目「困難な課題を解決する力」です。
担当する研究テーマの重要な未解決問題への意見が求められます。
例えば、ある材料にこの機能を付与できたら面白いけどコストや技術的に実現が難しいなどはよくある話です。
困難な課題は長期的に問題になっている場合が多いので、先入観のない若手の意見を上の人間は欲しがります。
特に博士はその「課題解決力の高さ」を企業から期待されているので協力を求められますよ。
研究に関する課題解決力を鍛えておきたい方は過去記事「研究・実験が進まないときに読む記事」をご参照ください。
また、こういった科学的な課題以外にも困難な課題が企業ではあります。
顧客対応や他部署・他社への業務委託といった対人関係にまつわる難題解決も博士は任されます。
例えば、顧客の潜在ニーズの把握や他部署・他社に依頼した材料製造でのトラブル対応などです。
この手の難題は課題解決力に加えて「コミュニケーション能力の高さ」が重要です。
博士課程の方は物事を分かりやすく伝えるスキルも意識的に鍛えておくと企業の期待に応えられますよ。
コミュ力を鍛える具体的な方法は過去記事「企業の研究職に求められる能力とは?」をご参照ください。
筆者自身、2年目になってすぐトラブル対応を任せられました。他社から購入していた重要材料の入手が諸事情によりできなくなったため、自製化に向けた工業化検討を急ピッチで進めました。あの頃はとても大変でしたね(笑)。
新規テーマの提案
企業での難題解決もこなせるようになれば博士の仕事ぶりとしては十分?
与えられた課題の解決だけでは博士の仕事ぶりとしては不十分です。
企業が博士に求めること3つ目は「新規テーマの提案」です。
理系企業はいつだってイノベーションにつながる新技術の開発を重要視しています。
特に博士は大なり小なり学生時代に新発見をする経験を積んだため、企業でも「新たなシーズを見つける力」を期待されます。
実際に筆者も会社の偉い人から「若い人には皆期待しているが、特に博士には新しいものを生み出してほしい」と言われたことがあります。
企業の研究は様々な制約がありますが、博士は持ち前のチャレンジ精神を発揮して新テーマに積極的に取り組むことが望まれますよ。
博士は通常業務をこなす中で新テーマにつながるヒントを探し、自分なりのアイデアを温める習慣を持ちましょう。
新テーマの具体的な立ち上げ方については過去記事「研究テーマの探し方・育て方」をご参照ください。
博士は社内でも珍しい存在ですので、博士だけで集まるコミュニティもあります。筆者も一度博士のお偉いさんに誘われて同期の博士数人と飲みに行きました(コロナ前の話です)。会話内容はほぼ雑談でしたね(笑)。
大学で学んだ知識の共有
ほかにも企業が博士に求めることってあるの?
上記3つが企業が博士に主に期待することですが、もう1点求められることがあります。
それが企業が博士に求めること4つ目「大学で学んだ知識の共有」です。
大学の専門分野が企業でも研究対象になることはあまりないですが、その分野の知識が必要なときは時々訪れます。
例えば、筆者は有機合成化学の中でも特に有機金属化合物の反応性が専門分野なので、チームの誰かが有機金属化合物を扱う際にはアドバイスを求められますね。
どうせ聞くなら博士の方が「高度な専門知識」と「その分野の豊富な経験」があるので頼りやすいです。
知識の共有はチームのレベルアップのために重要視されているので、博士は豊富な知識を機を見て積極的に伝えれば上司からの評価も上がりますよ。
博士課程で身に付けた専門知識は企業でも無駄にはなりませんので、学生のうちは自分の専門をとことん極めれば良いと思います。
「専門性の高い博士は扱いにくい」と言われる原因は、総合職で採用しジェネラリストとして育成することが基本の日本の雇用制度にある気がします。最近流行りのジョブ型採用なら専門性の高さが重要なので博士がより採用されやすくなると思います。ジョブ型採用がもっと一般的になってほしいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
筆者が入社当初に言われたことですが、「博士は即戦力」と企業は思っています。
実際修士と比べて待遇は良いので、それに見合ったより良い成果を早い段階から求められるわけです。
就活する際は上記の博士に求められる4要素を兼ね備えた人材であるとアピールすれば印象はかなり良いでしょう。
博士は新入社員と言う立場に甘えず、できるだけ早く価値を生み出すという意識で働けば、企業が求める博士として重宝されると思いますよ。
以上、ご参考になれば幸いです。
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