こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程の学生方や進学予定の学生方はこんなことでお悩みではありませんか?
博士の年収ってどれくらいだろう?
修士に比べて稼ぎはいいのかな?
博士の給料はあまりよくないという噂も聞くけど、
実際のところどうなの??
巷では博士は修了するまでに長い年月を要する割には給料が良くないのでコスパが悪いなどと囁かれています。
修士で就職して早く社会に出た方が収入が良いという話も耳にします。
ですが、本当に博士の稼ぐ力は低いのでしょうか?
本記事では、博士と修士の平均年収に関する最近の国の統計データをもとに、博士と修士でどちらが稼ぎがいいのかを検証しました。
さらに、博士号を取得した現役の企業研究者である筆者のリアルな経験をもとに、博士の稼ぐ力の高さについても考察しました。
本記事を読めば、博士のリアルな給料事情が分かりますので、博士課程進学を検討する際にご参考になると思います。
博士課程に進学するか悩まれている修士課程の学生方はもちろん、現役の博士課程の学生方にもぜひ読んでいただきたいです!
博士は修士より平均年収が高い
博士と修士はどちらが平均年収が高いの?
結論から申し上げますと、博士は修士よりも平均年収が高い傾向があります。
内閣府が設立したe-CSTIが実施した「人材育成に係る産業界ニーズの分析」では、様々な年代および職種の博士の年収情報が調査されており、その分析結果として下記記述があります。
いずれの職種においても、業務との関連度、やりがい、年収レベルは、概ね、高専・学士<修士<博士の傾向がみられる。
出典:e-CSTI 人材育成に係る産業界ニーズの分析
実際のデータもe-CSTIのHPにある可視化分析ツールで確認できました。
下図に修士と博士の平均年収の分布図を示します。
縦軸が平均年収で横軸が仕事への満足度です。各職種と性別の組み合わせごとに別々の円で描かれており、その大きさは各集団の人数を反映しています。
修士の方は平均年収600~700万円に大きな集団がある一方で、博士は平均年収700~800万円のゾーンにも大きな集団があり、1000万円付近にも大きな分布があります。
確かに、博士の平均年収は修士より概ね高いと言えますね。
また、近年の博士の平均年収に関して下記記述もあります。
いずれの職種においても、年齢が20代、30代、40代と上昇するにつれ年収レベルが上昇する傾向がみられるが、20代の技術系研究職においては、近年博士の年収レベルが大幅に上昇している傾向がみられる。
出典:e-CSTI 人材育成に係る産業界ニーズの分析
こちらも可視化分析ツールで分布図を見てみましょう。
先程の分布図のうち、29歳以下の技術系職に絞って再度分布図を表示しました。
20代の若手技術系職の修士はほとんどが平均年収400~500万円である一方で、博士の大部分は平均年収600~800万円ですね。
つまり、博士は修士よりも稼ぎはよく、特に最近の技術系博士の年収は大きく伸びていると考えられます。
また、上記分布図からは仕事に対する満足度に関しても全体的に修士よりも博士の方が高いことが分かります。
給料や仕事へのやりがいという観点で博士課程に進学するかで現在悩まれている方には朗報ですね。
ぜひ博士課程に進学することをおススメします!
博士課程修了者の給料が低い印象は非正規のアカデミア研究職(ポストドクターなど)の年収の低さが原因でしょう。非正規職なのでどうしても給料は低く、年を重ねても年収があがにくいです。ただし、給料が低い一方で仕事へのやりがいは強く感じている方が多いというデータがあります。自分のやりたいことを突き通したいなら非正規でもアカデミア職が天職だと思います。
博士の平均年収が高い理由①
どうして博士は修士よりも平均年収が高いの?
前節に通り、博士は修士よりも年収が高いようですがいったいなぜでしょうか?
その理由について、博士号を取得した現役企業研究者である筆者の経験から考察してみました。
理由は大きく2つあると思います。
1つ目は、「博士は高年収企業に需要があるから」です。
過去記事【博士の就職】博士におススメの業界で詳しく解説していますが、博士は製薬会社や大手化学メーカーを始め、どの業界でもその業界の顔である大企業が積極的に採用しています。
こういった大企業は研究開発に力を入れており、優秀な人材確保にリソースを割く資金の余裕もあるため博士の需要が高いのです。
その結果、博士は大企業=高年収企業に入社できる割合が高いため、修士に比べて平均年収が高いと推測できます。
「そうはいっても本当に自分が大企業に入れるのか不安・・・」という学生の方も多いと思いますが。心配しないでください。
博士課程の3~4年間を真面目に頑張れば、貴方のポテンシャルは同世代に比べて飛躍的に向上します。
博士課程での貴重な経験を就活できちんとアピールできれば大企業からの内定は全く不可能ではありません。
どうしても不安な方は当ブログの就職関連記事が役に立ちますのでご一読ください。
もし高い給料をもらいたいのなら、博士課程に進学し、臆することなく業界トップクラスの大企業への就職を目指しましょう。
筆者自身大手化学メーカーに就職したわけですが、博士は大企業の姿勢や環境と相性が良いと本当に思います。大企業は給料が良いのはもちろんですが、博士が活躍できる場が多いのがうれしいですね。何度も言いますが博士課程に進学したからには遠慮せずに大手への就職を狙いましょう。企業は大歓迎ですよ(笑)。
博士の平均年収が高い理由②
皆が大企業に入れるわけじゃないし、修士でも大企業に入る人だっているのでは?それでも博士の年収が高いのはなぜなの?
確かに一時の運で希望の大企業に入れない博士はもちろんいるでしょう。
また、大企業に入れたとしても同僚の修士と比べると稼ぎは同じぐらいではないかと疑問に思う方もいるでしょう。
それでも博士の平均年収は修士よりも高い傾向にあるのはなぜか?
その理由こそが、筆者が考える博士の年収が高い2つ目の理由です。
それは、「博士は出世が早いから」です。
筆者が見聞きした経験ですが、新卒で入社した博士は約3~5年と短期間で一般職から管理職に昇進するそうです。
一方で、修士は管理職に昇進するまで約10年はかかります。
理由としては、実は一般職の中でも階級はあり、博士は入社時点で上位のクラスで雇われる一方で修士は中位のクラスで雇われる(だから初任給に差がある)ため、管理職になるまで時間がかかることが挙げられます。
3年早く入社しているとは言え、何年も早く管理職になれるのは生涯収入の観点でメリットがあります。
なぜなら、一般職から管理職にあがると給料は大幅に増加するため、生涯収入を上げるためには早期の出世が肝要だからです。
ここで、先ほどのe-CSTIの可視化分析ツールを使い、新卒入社から約10年目までの修士と約5年目までの博士の平均年収を推測してみました。
やはり25~34歳の年代では修士と博士で平均年収にかなり差が出ているように見えますね。
博士は30代前半までには出世し高い給料を得ていることが伺えるのではないでしょうか?
博士の出世が早い主な理由は博士課程時代に培われた高度な専門知識や高い問題解決能力だけでなく、会社側からの期待の大きさも主な要因ではないかと筆者は考えています。
文部科学省が実施した調査「民間企業における博士の採用と活用」の報告書によると、企業が採用後の学生に抱く印象は学士や修士に比べて博士が最も良いという調査結果が出ています。
博士は期待通りもしくは期待を上回る能力・資質を有していると多くの企業が感じているそうです。
博士の出世が早いのも頷けるのではないでしょうか?
まとめると、たとえ高年収企業に入れなくても、同僚の修士の稼ぎが気になっても、出世の早い博士の平均年収は修士よりも自然と高くなるのです。
企業に入れば将来の給料に関しては安心ですので、博士課程ではガンガン実験して自己研鑽してくださいね(笑)。
博士の初任給を取り上げて年齢の割には給料が低い=博士課程に進学する意味はないなどと議論する記事をよく見かけますが、筆者は的外れかと思います。どんな大企業でも1年目の年収は(ボーナスも少ないし)低いです。また、企業の平均勤続年数は約15年ですので、初任給よりも入社後の昇給の速さこそが生涯収入の観点で重要だと思います。
博士は副業もしやすい
博士の給料が悪くないのは分かったけどある程度時間はかかるよね。
いち早く高い収入を得る方法ってないの?
「出世するまで待てない」「20代のうちにある程度の資産を築きたい」など、本記事を読まれている方はいち早く高い所得を得たいと考えている方が多いのではないでしょうか?
そんな方々におススメなのが博士課程時代の経験を活かした副業です。
副業は自分の得意を活かした内容にすると他者と差別化しやすいので上手くいきやすいです。
博士課程を修了した方は皆何かの分野に秀でており、それをネタにすればいいので副業をするハードルが低いです。
実際に筆者自身も博士課程時代に培った経験や専門分野の知識を使って当ブログを運営し収益を得ています。
最初はお小遣い程度ですが、上手くいけば大きな収入を得ることも可能です。
また、副業には単純な所得の増大以外にも大きなメリットがあります。
・社会保険料や税金の支払い額を最小限に抑える工夫ができるので効率よく手取りが上がる
・副業を通じてスキルが向上し、本業でも成果が出やすくなる
・自分で稼ぐ力が身に付くことで会社に依存しなくて済む
副業の可能性は無限大ですね(笑)。
今の時代は終身雇用が中々難しいので、会社に依存せず自分で稼ぐ力を身に着けておくことは特に大事だと筆者は思います。
博士課程に進学したことで得られた高度な専門知識は会社で活かしにくいとの声もよく聞きますが、その高度な知識を活かす場を副業という形で自ら用意すればいいのです。
最近ではブログはもちろん個人が情報発信できる場はたくさんありますからね。
博士課程での経験を副業で無駄なく活かせれば、加速度的に収入が上がりますよ!
最近は副業をスタートする環境だけでなくサポートする環境も非常に整っていて、副業するには恵まれた時代だと感じます(笑)。特に博士は明らかな強みがあるので副業との相性は良いと思います。副業の始め方や上記の副業のメリットに関する解説記事も今後作成したいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。
巷では色々言われますが、実際のところは能力のある博士の給料は高いという結論ですね。
博士の給料が心配で博士課程に進学するか迷っている方は全く心配しなくて大丈夫ですよ。
むしろ就職後の収入を楽しみにしておいてください(笑)。
博士課程に進学して真っ当に努力を続けれていれば未来は明るいです。
以上、ご参考になれば幸いです。
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