こんにちわ。sakuranokiiです。
研究職になりたいと考えている大学院生の方はこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
大学と企業で行う研究は違うって聞くけど、
研究の進め方は具体的にどう違うの?
大学と企業では目的や組織構造が違うため、研究の進め方も異なります。
したがって、大学の頃と同じように研究を進めると痛い目に会います。
将来的に企業で研究職に就きたい大学院生の方はあらかじめ企業での研究の進め方を知っておいた方がスマートに会社生活をスタートできます。
というわけで、本記事の内容は下記です。
顧客ニーズの把握
企業での研究はまず何から始まるの?
企業での研究は顧客のニーズ把握から始まります。
大学では自分が面白いと思う物事をテーマに設定すると思いますが、企業では顧客の欲しい物事でないと意味はありません。
顧客ニーズの把握は顧客との距離が近いマーケティング部が主に担いますが、研究職の人が顧客との会議に同席することは普通にあります。
顧客会議でのヒアリングが顧客ニーズ把握において最重要ですので、積極的に質問して情報収集しますね。
一方で、顧客と直接会話する機会がほとんどない研究職の人(材料合成担当や分析担当の方など)もいます。
その場合でも会議内容の共有はされますが、やはり直接やりとりしていない分だけ情報の格差は生まれやすいです。
ですので、マーケティング部はじめ顧客と接点のある部署の人と積極的に議論し、自分から顧客情報を手に入れる姿勢が良い研究テーマを立案するうえで大切です。
顧客ニーズに対応した研究テーマを立案する上ではその分野における幅広い知識や流行の把握も必要です。ですので、大学時代と同じように最近の論文を読んだり、学会に参加したりすることはテーマ考案に役立ちますね。また、他社の特許文献を読むのも良い勉強になります。
スピード勝負
研究テーマが決まってからは大学とどう違うの?
顧客ニーズに合致した研究テーマを提案し、無事顧客にも了承を得られたらできるだけ早く結果を出しましょう。
大学では数年がかりで研究テーマを進めますが、市場動向は日夜変化するので、顧客はそこまで待ってくれません。
筆者のいる業界は特に競争が激しいため、新テーマのスタートから遅くても1か月以内に1次サンプル提出まではしますね。
また、1か月やっても芽が出ないのであれば引きずらずに別のテーマに移行します。
スピードを重視するのは特許対策の意味もあります。
大学でも似たテーマの論文が先に出されたことで残念ながらテーマがストップすることはあるかと思います。
企業でもテーマが他社と被ることは割とあるので、もたもたしていたせいで先に特許を取られてしまうと全て台無しです。
1日でも早く他社に先んじて新技術の開発を行い、特許を取得し権利化することも重要な事業戦略なのです。
研究は時間がかかるものですが、企業での研究はスピード勝負ですので、効率よく業務を進めてすぐに結果を出す能力が重要ですよ。
企業は早く成果を出すためにお金で時間を買います。例えば、デスクワーク効率を上げるためのPC周辺機器は皆充実させていますね。有機合成で言うと数十万円程度の試薬でも必要なら平然と買います。企業に入ると大学時代と比べて金銭感覚がだいぶ変わりますね(笑)。
性能改良の毎日
1次サンプルを出してからはどう進めていくの?
最初のサンプルを提出した後は顧客からのフィードバックをもとに性能改良を進めます。
サンプル提出→フィードバック→改良サンプル提出→フィードバック→さらなる改良サンプル提出といった具合に顧客と何度もやり取りしながら進めますね。
1発で顧客の満足する商品を作り出すことは中々難しいです。
なんなら1回目のサンプルの性能が悪いとそのままテーマが終わることもざらにありますよ(笑)。
サンプル改良のやり取りが続くのはそれだけ顧客からの期待値が高いのです。
そういう脈アリのサンプルは性能改良を進めながら、量産化を視野に入れて原料の入手ルートや材料の製造方法を確立していきます。
顧客のフィードバックに基づいた性能改良は研究職のメイン業務で腕の見せ所ですね。
顧客に言われたことをやるだけでなくそれ以上の仕事をし、期待以上の改良を実現できるかが採用の別れ目です。
大学のように基礎研究をじっくり進めるのは企業では不可能というわけではありません。顧客に向けた研究テーマと並行して、空いた時間で自分がやりたい研究テーマを随時進める人もいますよ。数年先の需要を見越した難易度の高いテーマならそういう進め方もありだと思います。
量産化からが本番
顧客採用が内定した後はどう進めていくの?
サンプルの性能が十分に改良され、顧客採用内定が濃厚になると量産化に向けて動き出します。
量産化に向けて研究職がやることは主に2つです。
このように量産化を進めるためには社内外の関係者に働きかける行動力とコミュニケーション能力が重要になります。
また、多くの人間が関与する分だけ量産化には時間がかかります。
量産化はミスできないプレッシャーもあるため、量産化が決まってからが仕事の本番ですね。
大学時代では経験しない仕事の連続ですので、初めての量産化はかなり大変に感じると思います。
ですが、量産化を乗り越えないと研究を頑張った意味がありません。
自分の研究成果が世の中に貢献する姿を見れるのが企業での研究のやりがいです。
せっかく企業研究職になれたのなら、量産化まで経験して大学時代とは異なる達成感を味わってほしいですね。
無事に何回か量産品を作れたらその後は研究から工場に業務移管し、そのテーマは研究職の手から離れていきます。筆者の会社では移管完了までで1つの研究テーマが完結するイメージですね。もちろん何か問題が起これば対応に協力はします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
筆者が化学メーカー勤務なので製造業の研究の進め方についてご紹介しましたが、他業界でも共通する部分はあるのではないでしょうか。
どの業界であっても顧客ファーストの姿勢で顧客が喜ぶ商品を考えることが研究開発で最も重要だと筆者は思います。
大学時代の研究の進め方とは異なる部分が色々あり、自分にできるのか不安になる方もいるかもしれません。
ですが、その異なる部分は裏を返せば企業でしかできない経験であり、大学では味わえない達成感に繋がります。
大学と企業の違いを楽しみながら企業での研究にも取り組んでみてはいかがでしょうか?
以上、ご参考になれば幸いです。
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