研究職を目指す人必見!現役が答える研究職に関するQ&A集【業務内容・お金・キャリア編】

研究職を目指す人必見!現役が答える研究職に関するQ&A集【業務内容・お金・キャリア編】企業での研究
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こんにちわ。sakuranokiiです。

研究職になりたいと考えている大学院生の方は研究職に関して様々な疑問や不安をお持ちかと思います。

コロナ渦で同窓会が中々開けないご時世なので、研究室OBOGの方に質問するのも難しいですよね。

そこで、現役企業研究職の筆者が研究職に関するよくある質問に全てお答えします。

本記事ではまずは研究職の業務内容やお金、キャリアに関するQ&A集を示します

本記事の内容

●テーマ

現役企業研究職の筆者が実際の経験に基づき研究職の業務内容やお金、キャリアに関する疑問や不安に答える

●主旨

企業で研究職に就きたい大学院生の疑問や不安を解消し、研究職になるモチベーションをさらに上げてほしい

●読んでほしい人

研究職を目指している大学生

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業務内容についてのQ&A集

業務内容についてのQ&A集

最初に研究職の業務内容に関するQ&A集を示します。

業務内容についてのQ&A集

Q:研究職とは何?

A:ある物事について深く考えたり調べたりして明らかにする仕事です。

Q:研究職にはどんな種類がある?

A:基礎研究と応用研究の2種類に大きく分かれます。開発研究という種類もありますが、やってることは応用研究の範囲内に収まるかと思います。応用研究を担うなら開発研究にも携わるイメージですね。

Q:研究職と技術職の違いは?

A:技術職は製品を作る機械などの生産設備を運用・管理することが仕事です。研究職よりも一層商品化に近い立ち位置にいる職種です。

Q:研究職の仕事内容は?

A:研究職の種類ごとに変わります。基礎研究なら純粋に学問の発展を目的に新技術や新理論の確立を行うこと(0から1を作ること)が仕事です。一方で、応用研究は基礎研究で得られた知見を世の中の役に立つ形にして実用化すること(1から10を作ること)が仕事です。いずれも科学技術の発展に貢献できるやりがいのある仕事だと思いますよ。

Q:大学研究職の仕事内容は?

A:大学研究職、つまり、大学教員は間違いなく基礎研究に従事します。研究に加えて学生の教育も大事な仕事である点が特徴ですね。自分の手を動かすよりはアイデアを考える仕事がメインです。

Q:企業研究職の仕事内容は?

A:企業研究職は配属された部署が事業化されているかどうかで仕事内容は大きく変わります。まだ事業化されていない部署であれば、自社の強みを活かせる事業を考案し立ち上げることからスタートします。応用研究がメインですが応用を視野に入れた基礎研究も行うことが特徴ですね。一方で、事業化されている部署ではすでに顧客がいるので、顧客要求を第一に考えて研究を進めることが特徴です。スピードが重要なのですぐに実用化可能な応用研究しか基本的に行わないですね。工場を始めとした関係各所と協力して量産化を素早く行う点も特徴です。

Q:大学と企業の研究の違いって何?

A:大学の研究は学問の発展、企業の研究は会社の発展=黒字と最終目標が違います。目標の違いに起因して仕事内容にいくつか大きく違う箇所がありますが、詳しくは過去記事「大学と企業の研究の大きな違いとは?」をご覧ください。

Q:企業では学生の頃と分野違いの仕事をすることもある?

A:あります。大まかな分野は一緒になりますが、細かい専門分野まで完全に一致することは基本的にないでしょう。入社して5年以上も経てばで部署異動により研究職以外の仕事を任されることも普通にありますよ。

Q:企業は安全に厳しいって本当?

A:本当です。事業の安定継続のためには安全な職場づくりが基本中の基本ですので、企業は安全を第一に考える組織です。具体的にどんなことをしているのかは過去記事「大学と企業の研究の違い~安全衛生活動編~」をご覧ください。

Q:企業研究職にノルマってある?

A:筆者は聞いたことがありません。筆者の部署では年間目標として「この研究テーマとこの研究テーマに従事し改良商品を作る」などは年度始めに上司と相談して設定します。また、もし年間〇〇件以上の材料が採用されたら人事評価が上がるという仕組みは一応ありますがノルマではないですね。自主的にやるべきことを考えて仕事を進めています。

Q:企業研究職も納期に追われる?

A:残念ながら追われます(笑)。特に事業化されている部署では顧客に提出するサンプルを出荷日までに用意する必要があるので日々納期に追われます。事業化されていない部署でも期限を決めて研究を進めるので納期はあります。企業ではスケジュール管理が大切ですね。仕事を引き受ける際はその納期が余裕をもって達成できるかは必ず確認するべきです。

Q:企業研究職の労働時間ってどれくらい?残業はする?

A:月約180~190時間(1日7時間50分×20営業日+残業20~30時間)が多いですね。残業時間は長い職種だと思います。ただ夜遅くまで残業する人は強制されているのではなく自分がやりたい研究をするために残っている場合が多いですね。

Q:企業研究職は休日出勤もする?

A:どうしても納期に間に合わない場合は休日出勤します。ただし、年1回程度で滅多にありません。基本的に休日出勤しなくて良いように仕事の割り振りを決めるので、不測の事態が重なるなどのトラブルが起こらない限り休日出勤することはないですね。

Q:企業研究職はどんな1日を過ごす?

A:毎日実験ばかりするイメージがあるかと思いますが、実際のところはデスクワークや会議などに使う時間が半分を占めます。詳しくは過去記事「現役研究職の1週間をご紹介」をご覧ください。

Q:企業研究職もテレワークする?

A:担当する研究テーマによります。PCを使った仕事がメインの研究職(性能評価や材料解析など)ならリモートワークもします。一方で、社内でないと仕事ができない研究職(材料合成など)は在宅勤務はできないですね。

Q:企業研究職はフレックス制?

A:フレックスであるかどうかは職種ではなく企業の方針によると思います。企業の募集要項を確認しましょう。ただ、フレックス制が名目だけになっている企業もあると聞きますので、OBOGに聞くのが一番良いですね。ちなみに筆者の企業はフレックス制が正常に機能しており自由に来て自由に帰ってますね。

Q:企業研究職に必要なスキルや能力って何?

A:「コミュニケーション能力」と「主体性」が大事です。また、スキルや能力とは少し違うかもしれませんが「誠実さ」も重要です。頭が良いだけでは研究職は務まりませんね。詳しくは過去記事「企業の研究職に求められる能力とは?」をご覧ください。

Q:企業研究職に必要な資格はある?

A:特にないですが、基本的に修士もしくは博士の学位がないと研究職には配属されないです。ちなみに、筆者のような化学メーカー研究職は危険物取扱者の資格を入社後に全員取りますね。このように業種ごとに業務上必要な資格はあると思います。

Q:企業研究職に英語力はどれくらい必要?

A:研究職のTOEIC L&Rの平均スコアは約560点ですので、TOEICで560点以上取れる英語力があれば十分です。業務上英語が必要な場面は部署によって変わりますが、大体の部署は論文を読むぐらいしか英語は使わないですね。詳しくは過去記事「研究職に英語力はどれほど必要か?」をご覧ください。

Q:企業研究職は業務でプログラミングもする?

A:最近はDXが流行っているためか筆者の会社では社員にプログラミングを学んでもらう機会を設けていますね。特に筆者の部署はMI(Materials Informatics)の活用が進んでおり、データサイエンスの存在感はかなり大きくなっています。ただ、実際に業務でプログラミングを使う人は情報系研究職ぐらいかと思います。よって、入社前からプログラミングの勉強を頑張ってする必要はないですが、企業がDXに向けてどんな取り組みをしているのかは知っておいて損はないので調べてみても良いと思います。

Q:企業研究職も品質管理業務はする?

A:品質管理担当の研究職もいます。筆者の部署では新入社員がすぐに品質管理を任されることはなく、ある程度経験を積んだ方が抜擢されていますね。

Q:企業研究職は論文を書くこともある?

A:基本的にないです。研究の成果は論文ではなく特許で発表して、その発明の独占権を得て事業継続を図るのが企業のやり方です。

Q:企業研究職あるあるって何?

A:大学とは違って大人数で1つの研究テーマを進めるので、関係各所とのやり取りの多さに最初は戸惑うことがあるあるかと思います。

Q:企業研究職ってどんなPC使ってるの?

A:会社から支給されるノートPCを使っています。ディスプレイを別途購入して2画面で仕事をする方が多いです。データサイエンス担当の人は支給されるPCとは別にもっとハイスペックなPCを購入していますね。

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お金についてのQ&A集

お金についてのQ&A集

続いて、研究職へのお金に関するQ&A集を下記にまとめました。

お金についてのQ&A集

Q:研究職の平均年収っていくらぐらい?

A:令和2年度賃金構造基本統計調査によると研究職の平均年収は約660万円です。日本のサラリーマンの平均年収は約440万円なのでかなり高いですね。

Q:研究職の給料とボーナスはいくらぐらい?

A:令和2年度賃金構造基本統計調査によると研究職の平均月収は約42万円で、年間ボーナスは約160万円です。

Q:研究職の年収は他職種に比べてどう?

A:令和2年度賃金構造基本統計調査に記載の全145職種のうち研究職は16位とかなり上位にランキングしています。理系職で言うと、獣医師や薬剤師およびその他多くの技術者よりも高い水準にあり、また、大学教授や准教授には及ばないものの大学講師や助教の平均年収と同程度です。

Q:研究職に就ければ年収1000万円も可能?

A:令和2年度賃金構造基本統計調査によると50代後半の研究職の平均年収は約987万円です。長く続ければ年収1000万円も十分可能な職種だと思います。

Q:どの業界の研究職が年収は高いの?

A:業界別の研究職の平均年収については良い資料が見当たらなかったです。ただし、製薬や化学業界は年収が高い傾向にあると思います。詳しくは過去記事「理系企業200社の博士卒初任給の業界別ランキング」をご覧ください。

Q:企業研究職は副業してもOK?

A:業務に支障が出ないのであればOKです。筆者も副業でブログをしています。社則で禁止になっている企業は原則NGですが、今の時代で副業NGの企業はどうなのかなとは思います(笑)。ただ、副業をするなら会社にばれないように行動した方が無難ですね。面倒事につながる可能性がありますので。

sakuranokii
sakuranokii

上記質問のより詳しい解説が見たい方は過去記事「研究職の年収について徹底解説」をご参照ください。

キャリアについてのQ&A集

キャリアについてのQ&A集

次に、研究職のキャリアに関するQ&A集をまとめました。

キャリアについてのQ&A集

Q:企業研究職のキャリアプラン(出世コース)はどんな感じ?

A:例えば、修士卒の24歳で就職したとすると、10年ほどは一般社員として様々な経験を積みます。人によっては1回ぐらい部署異動するでしょう。30代半ばほどで主任研究員(係長)に出世し、ある研究テーマについては責任ある立場になります。主任研究員として一定の成果をあげ、かつ、ポストに空きもできたら副課長に昇進します。40代前半の方が多いですね。副課長は複数の研究テーマについて責任ある立場になります。副課長としても一定の成果をあげ、かつ、ポストに空きができたら課長に選ばれるでしょう。50代の方が多いです。課長は課全体の研究テーマについて把握し部下を導いていく重責を担います。副課長までは努力でなれますが、課長以上に出世するには特別な能力が必要な印象がありますね。課長として顕著な業績を上げれば次は部長に昇進します。50代後半の方が多いですね。部長以降の出世コースは研究所所長→役員→社長ですが、当然限られた人しかなれないので、大概の部長は色々な部署を転々としているうちに定年を迎えますね。

Q:海外転勤はある?

A:海外顧客がメインの部署で、その国に子会社もある部署ではパイプ役としてその子会社に出向する場合があります。現地で研究職として働く人もいれば事業部的な仕事を任される場合もあります。海外勤務は言葉の壁もあり何かと大変なので、コミュニケーション能力が高く、かつ、英語がある程度できる確証のある人でないと選ばれないですね。ちなみに海外赴任時は手当が出るので給料がかなり上がりますよ(1.5倍ほど)。

Q:企業研究職の評価基準ってどんな感じ?

A:筆者の企業では評価基準は年度初めに上司と相談のもと自分で決定します。研究テーマに関する目標に加え、特許や安全活動についても評価基準を設定します。例えば「〇〇の材料に関して自分のアイデアで性能改良する」「寄与率〇〇件以上特許を出願する」「職場の本質的な安全衛生環境の改善に貢献する」などですね。評価基準を期待通りクリアしたか、期待以上に優れた成果を出したか、それとも期待未満の成果だったかで成績がランク付けされ来年度の給料が変動します。

Q:企業研究職でもクビやリストラってある?

A:筆者は聞いたことがありませんね。そもそも会社はよほどのことがない限り従業員を簡単にはクビにできません。研究職は真面目で落ち着いた方が多いのでクビになるレベルのトラブルを起こすような人は滅多にいないのでしょう。

Q:研究職は裁量労働制?

A:企業によっては裁量労働制のところもありますが、基本は勤務時間に応じて給料が決まります。逆に大学教員は裁量労働制が基本ですね。

Q:企業では研究職もゼネラリストとして育成されるの?

A:総合職の枠組みの中で採用されたのなら研究職でもゼネラリストとして育成されます。つまり、研究とあまり関係のない部署に異動させられることはあります。

Q:企業研究職の異動って多い?

A:異動は他の職種に比べて少ない印象です。一度も異動せずに10年以上勤めている方も割といますよ。一方で数多くの部署を異動する人も少数派ですがいますね。研究職であっても各人の適性や能力、人事の裁量によって頻繁に異動させられる人はいます。

Q:営業職に回されることはある?

A:可能性は低いですがあり得ます。誰でもというわけではなく、コミュニケーション能力の高い研究職の人が選抜されて営業職に異動する話はたまに聞きますね。研究が上手くいかなくて嫌になったから自分から営業職に回る方もいますよ。

Q:企業研究職に社会人ドクターはいる?やっぱり大変?

A:社会人ドクターの方もかなり少数派ですがいます。通常業務をこなしながら研究と論文執筆を同時並行で行うのは並大抵のことではありませんのでやっぱり大変ですね。実際に筆者の部署にいた社会人ドクターの方は体調を崩して倒れました(後に博士号は無事に取られました)。博士号をとるなら学生のうちに取得することを筆者はお勧めします。

Q:企業研究職は業務内容に関する勉強は自主的にすべき?

A:するべきです。簡単な受入教育後、基本的にはOJTで業務内容の知識を勉強しますが、それだけでついていくのはなかなか大変です。自主的に論文を読んだり書籍を買って勉強するぐらいがちょうど良いかと思います。企業は大学と違って上の人がちやほや教えてくれることはないので、自分から積極的に質問して知識を増やす姿勢も大切です。

sakuranokii
sakuranokii

終身雇用ではない今の時代、企業研究職として一生を過ごすキャリアは実現できないかもしれません。これから研究職を目指す若い方はなおさらそうです。研究職になれるほどの専門性を活かして、副業として自分なりの事業をする経験もした方が良いと思います。

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まとめ

研究職に関する疑問や不安は解消されましたでしょうか?

企業で行う研究は大学の頃と似ているようで違います。

つまり、大学ではできない経験を企業ではできるのです。

研究を通じてもっと広い世界を見たい人は企業研究職になることをおすすめします。

ついでに高い給料ももらえますよ(笑)。

本記事が役に立った方は、続編「研究職の就職・悪い面・良い面に関するQ&A集」もぜひご覧ください。

以上、ご参考になれば幸いです。

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