こんにちわ。sakuranokiiです。
博士課程の就活体験記もいよいよ最後になります。
過去記事をまだ読んでいない方は下記リンクから先に読んだ方が理解しやすいかと思います。
最終回は、筆者が内定を頂くまでの流れをありのままご紹介します。
筆者は博士課程の学生の中でもかなり珍しいルートで就活をしました。
ですので、一般的なルートで就活したいドクターの方は【就活の一連の流れ編①】を参照ください。
本記事は、いわゆる”ドクターならではの就活”を知りたい方にとって役立つかと思います。
そうでない方はこんな就活の世界もあるんだと面白半分に読んでいってください(笑)。
始まりは産学連携プログラム
筆者は博士課程進学の際、化学人材育成プログラムという日本化学工業協会が主催する産学連携プログラムに参画しました。
本プログラムの趣旨を簡単に言うと、産業界が求める理想的な人材像を産学で共有し、その高度人材を育成する上で適格な大学院とその学生(博士課程学生)を支援することで、優秀な人材を化学産業に輩出することです。
本プログラムのイベントの1つに、学生が研究発表会を通じて企業と交流する機会があります。
筆者は博士後期課程2年時の10月頃に、企業との交流会に参加しプレゼンしました。
プレゼン後の懇親会の時間では様々な企業の方から貴重なお話が聞けたことを覚えています。
交流会の次の日、ある企業の人事部の方からご連絡いただきました。
「昨日の発表会で聞いた研究内容に興味があり、技術交流会をしたいので工場見学に来ませんか?」というような内容でした。
本当に研究内容に関心があるなら教授に連絡するはずなので、言葉は違えど採用関係のお誘いではないか?と内心期待しました(笑)。
実は当時、筆者は2週間後に留学に出発する予定でしたので、その”技術交流会”は1週間後ぐらいにすぐに開催されました。
化学人材育成プログラムは企業との交流の機会に加えて、奨学金(返還必要なし)もいただける素晴らしい制度です。ただし、本プログラムに選定された大学院専攻は現在約20専攻であり、かつ、その専攻から1名の学生のみ支援を受けられます。狭き門ではありますが、採用された時のメリットは非常に大きいので、博士課程に進学予定の方はご自身の専攻が本プログラムに選定されているか一度確認した方がいいですよ。
突如始まった1次面接
“技術交流会”はまず人事部の方から簡単な会社説明を受けるところから始まりました。
次に研究職の方と合流し、研究室の様子を外から見学させていただきました。
その後、会議室に戻り、他の人事部の方とも合流した後、本社の印象はどうか?工場見学の感想は?と簡単に雑談したあと、次のように切り出されました。
「これから研究発表していただきますが、もしよろしければ採用試験の1次面接として扱っていいでしょうか?」
予想はしていたものの、突然面接が始まり少し驚きました(笑)。
普段通りプレゼンした後、1時間以上にわたる熱い質疑応答を経て面接は無事終了しました。
合否は後日連絡するとのことで、その日は解散となりました。
そして次の日、メールで1次面接合格の報告を受けました。
次が最終面接だが、その前に色々とやることがあるとのこと。
実は筆者が面接を受けた時期はまだ博士課程学生向けのエントリー開始前でした。
その結果、通常の就活ではエントリー⇒ES提出&適性検査⇒面接の順で選考が進みますが、筆者の場合は面接⇒エントリー⇒ES提出&適性検査という謎の順番になりました(笑)。
エントリー⇒ES提出&適性検査の部分を留学先で今後対応していくという話になりましたが、意外にこれが大変でした。
恥ずかしい話ですが、筆者はこの時期でもまだ業界研究や自己分析等の就活に向けた準備は一切していませんでした。お声がけいただいた企業にはもとより好印象を抱いていたので面接は受けましたが、このまま流されるようにこの企業に就職して本当にいいのか考える時間が欲しかったので、留学で次の面接まで時間ができたことは結果的に幸運でしたね。
留学しながらの就活
留学スタートから1か月ほど過ぎ、海外生活にも慣れてきた頃にエントリーが始まりました。
色々と書類を準備し始めたのですが、いくつか問題が発生しました。
まず、顔写真です。
履歴書用の写真を準備しておらず、かつ、スーツを持ってきていなかったため撮り直しもできずに困りました。
しかたないので、メールで人事の方に断りを入れて、私服(一応シャツスタイル)の写真を履歴書に使いました・・・
スーツを持ってきていないことは別件にも影響しました。
書類選考通過者を対象に、「録画面接」という事前に決められた質問に対して答える姿をPCで録画し評価するという1種の面接が今年度から始まったのです。
当然スーツで対応すべきですが、私服で面談せざるを得ませんでした・・・
もう一つ困ったことは学部、修士時代の成績入力です。
大学の窓口で成績証明書を発行し確認するのが通常の対応ですが、留学中の筆者は当然できません。
就活の知識があれば成績証明書を発行し持ってきたはずですが、筆者は無知でした・・・
教授にお願いして教務係に掛け合って頂いた結果、教授が代理人になることで成績証明書を発行することが可能になり、何とかしのぎました。
今でも教授には本当に感謝しております。
本記事を読んでいる方の中にもし留学中に就活される方がいれば、「スーツを持ってきておく」「成績証明書を用意しておく」ことを強くお勧めいたします(笑)。
困るほどではなかったですが、SPI対策本は当然海外では売ってなかったので、アプリで練習したり、就活支援サイトの模擬試験を受けたりして対策しました。ES提出も紙面ではなく、採用HP上で入力して提出するいまどきの形式だったので助かりました。
帰国後すぐに最終面接
最終面接の日程は帰国の1週間前に確定し、帰国して3日後でしたね。
時差ボケがやや残っている状態での最終面接となりました(笑)。
1次面接は個人面談でしたが、最終面接は他の博士課程の学生数人も交えた集団面接でした。
他の受験者もドクターということは、もしミスすると目立ってしまうので今まで以上に集中して面接に臨みました。
面接官は人事部の方1名と役員の方2名でした。
1人1人順番に口頭で3分ほど研究概要をプレゼン+質疑応答という形式で、1人あたり約30分ぐらい面談されました。
筆者はトップバッターで緊張しましたが、あまり固くなり過ぎず自然に会話することを意識することで乗り切ました。
最後に1人1問逆質問して最終面接は終了しました。
学生全員で控室に戻った後、数分後ぐらいに人事の方が来られ、学生ごとに別々の部屋へ別れました。
面接の感想を聞かれた後、その場ですぐ結果発表となり、無事合格しました。
博士課程の学生にはいつでも内定を出していいので(内定までの流れ編①参照)、その場で契約書にサインし内定を頂きました。
事前に要求されていた教授からの推薦書を提出し、今後の予定を説明された後、解散となりました。
何だかあっけなかったため、しばらく就活が終わった実感がわいてきませんでした(笑)。
会社を後にし、すぐにお世話になった教授と助教に電話し合格したことを報告しました。
大変喜んでいただけたことを今でもよく覚えています。
帰りの新幹線で両親にも報告し、研究室の後輩たちに残す用の面接備忘録を作り終えたぐらいで、ようやく合格した実感がわいてきましたね。
卒業までにやりたい研究を妄想しながら、駅に着くまで心地良い眠りにつきました。
筆者の就活は留学を挟んで約4か月で終了しました。就活期間としては普通ぐらいでしょうか?ただ筆者の体感としては、1社しか受けなかった+面接と面接の間がかなり空いたためなんだか長く感じましたね(笑)。この4か月は初めての海外生活に就活にと筆者の人生の中でも非常に濃密な時間でした。かけがえのない思い出ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。
まさに巷で噂されるドクターならではの採用ルート(裏ルート?)を経験しました。
もしかしたら楽して就活できたように見えるかもしれません。
しかし、自分で言うのも何ですが、今までの頑張りがあってこその結果だと考えています。
産学連携プログラムに合格するため、教授と何度もプレゼンの練習をしました。
良い論文を書くために、毎日朝から晩まで実験しました。
企業との交流会に向けて、専門外の人にも面白いと思ってもらえる発表にするよう頭をひねりました。
博士課程に進学すれば、誰でも裏ルートで簡単に就職できるなんてことはありえません。
博士課程に進学し、日々適切に努力すれば、筆者のように企業からお声がけ頂けるかもしれません。
修士の方も同じですが、就活は今までの人生の積み重ねが出ます。
企業を選ぶどころか企業から選ばれるほどの人材になるべく、日々努力しましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
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