こんにちわ。sakuranokiiです。
研究室生活の中で学生が共通して抱える悩みはこれでしょう。
研究・実験が中々進まない・・・
どれすれば上手くいくのだろう・・・
研究室生活は実験の毎日です。
その実験がうまくいかないとやっぱりつらいですよね。
本記事では、博士号を取得した筆者が長い研究室生活と企業研究者としての経験から、研究が進まないときの実践的な対応策を解説いたします。
研究はうまくいかないことの方がはるかに多いですが、研究室生活を充実させるためには成功経験も必要です。
本記事の内容を実践すれば、実験がうまくいかない状況を必ず改善できると思いますよ。
研究の進捗にお悩みの博士課程含め大学院生の方にはぜひ読んでほしい内容です。
とにかく人と話す
研究が進まなくて困ったとき、まずするべきことは「人と相談すること」です。
筆者の場合は大体これで解決してきましたね。
人に話すメリットは大きく3つあります。
実験がうまく行かないときは、自分の思い込みで可能性を狭めていることが往々にしてあります。
人から客観的な意見を頂くことで、無意識に排除していた方法に気が付き、解決につながることがよくありますね。
また、自分と違うテーマを研究している人は必ず自分が知らない知見を持っています。
今まで知らなかった知識や経験がヒントとなり、解決への糸口が見つかることもよくありますよ。
そして、気付きづらいメリットですが、人と人のつながりの力で赤の他人からもアドバイスが頂けることがあります。
どういうことかと言うと、相談相手が別の誰かと議論した際に「そういえば〇〇君がこれで困っていたな。今度教えてあげよう」となれば、結果的に接点のない人からも助言を得られたようなものです。
このように人と話すことはハイリターンでノーリスクです。使わない手はありません。
研究が中々進まないときは、教員でも先輩でも後輩でもとにかく人と相談しましょう。きっと良い方向に進みますよ。
人と相談するのは手っ取り早い問題解決策ですが、自分で解決する努力を一切せずに、何でもかんでも人に聞くのはお勧めできません。困ったらまずは文献調査する姿勢は忘れないでください。文献調査も実質的にはどこかの偉い人に相談しているようなものですよ(笑)。
状況改善には量より質
研究がうまくいかないとき、「とにかく数を打てばいつかうまくいくでしょ!」と考えていませんか?
研究がスムーズに進まないこそ、実験の量より質を重視するべきです。
なぜかと言うと、「これだけ頑張ったのだからもういいでしょ」とたくさん実験したことに気持ちが満足してしまい、問題の本質を考えなくなることがよくあるからです。
闇雲に数をこなすよりも、今までの結果を深く分析し、なぜうまくいかないのかを徹底的に考えましょう。
1実験ずつ丁寧に進めることが、最速で状況を改善する方法ですよ。
筆者自身も学生の頃、問題の本質を考えずにとにかく実験数をこなしていた時期がありました。
よくよく考えると無茶なテーマであったことに後になって気づき、方針変更を余儀なくされました。
深く考える習慣をつけていれば、もっと時間を有意義に使えたのにと後悔していますね。
研究も急がば回れです。
腰を落としてうまくいかない原因をじっくり考え、実験の質を最大化してください。
学生は時間無制限に実験できるので質より量に陥りがちです。社会人になると遅い時間までは基本的に実験できないので、1つ1つの実験の質を上げる力は必要になります。学生の頃から実験の質への意識は高めておくといいですよ。
理想にとらわれ過ぎない
研究がうまく行かないときは、自分にとって理想の現象にとらわれ過ぎている場合があります。
理想にこだわりすぎず、まずは現実的なラインから始めてみてはどうでしょうか?
特に、新しいテーマをやり始めた博士課程1年生や進学予定の修士2年生はまず結果を出すことが望ましいです。
なぜなら、ノーデータのままだと卒業できるのかが不安で精神的につらいからです。
現実的なテーマでまずは1報論文を仕上げることを目標にしましょう。
現実的なテーマをベースとし、より難しいテーマや自分の理想とするテーマに発展させればいいのです。
過去のデータの蓄積や経験がある分、この進め方のほうが成功しやすいと思いますね。
実際、筆者が博士課程のときは最初に現実的なテーマを仕上げた後、そのテーマを発展させて高評価を受ける論文を書くことができましたよ。*詳しくは→過去記事【研究テーマの探し方・育て方】
理想を追い求めた結果、学位がとれなかったのでは意味がありません。
学生の間はどれだけ小さくてもいいから自分のアイデアを実現させることにまずは注力しましょう。
オリジナリティ溢れる難しいテーマをすぐにでもやりたいなら、現実的なテーマと並行してやればいいのです。難しいことばかりやってるとノーデータの毎日に病んでしまいますよ。筆者が進学を決意した修士2年の頃がそうでしたから……
期限を決めて見切りをつける
たくさんの人と相談しても改善案が出てこない、どれだけ深く考えても良い解決策が思いつかない、現実的なテーマに落とし込んでもうまくいかない場合はどうしましょうか?
上記3つの対応策を実践しても改善しないならテーマに見切りをつけるタイミングです。
ただ今まで長い間頑張ったテーマを明日からすぐやめるのは気持ち的に辛いですよね。
そんなときは「今月いっぱいで改善しなければやめよう」「次の報告会でも改善策がでなければテーマを変えよう」などと期限を決めてしまいましょう。
期限切れになると諦めがつきやすいのでテーマを見切る際にオススメですね。
「それでもこのテーマだけは捨てたくない!」という方は、ノーベル賞受賞者ピーター・B・メダワー著の『若き科学者へ』に記載されている以下の金言を繰り返しお読みください。
ある仮説を真であると信じる気持ちの強さは、それが真であるか否かには何の関係もない
『若き科学者へ』ピーター・B・メダワー著
厳しい世界ですが、特に学生は卒業まで時間もないので無理なものは無理と諦めて前に進みましょう。
次のテーマでは大発見が待っているかもしれませんから。
『若き科学者へ』は研究者が知っておくべき教訓や倫理観に関する名著です。世界中で何十年間も読まれており、タイトル通り若き科学者の必読書です。筆者も博士課程に進学したあと読みましたね。研究が進まないときのヒントになるかもしれませんよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事をまとめると下図のようになります。
本記事でご紹介した対応策はどれをやるにしても多少のストレスは抱えるかもしれません。
「忙しそうな先生に話しかけるのが嫌……」「難しいこと考えるより手を動かしていた方が楽……」「現実なんて見たくない……」「テーマを変えるなんてもってのほか!」など、人によって大なり小なり痛みが伴いそうです。
ですが、だからと言って現状維持=楽な道を選び続けても状況は改善しません。
多少の痛みはテーマが上手く進めばすぐに忘れます。
研究が上手く進んでいる将来の自分を想像し、それをモチベーションに行動開始してみませんか?
短期的に楽な道より、長期的に楽しい道を選びましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
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