こんにちわ。sakuranokiiです。
研究職になるかどうかで迷っている大学生の方はこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
企業の研究職って具体的にどんな仕事をしているの?
大学の頃とはどう違うの?
企業研究職は普段どんな業務をしていると思いますか?
大学の頃と同じく毎日実験ばかりするイメージがあるかと思いますが実際のところはそうでもありません。
研究室生活とは似て非なる日常を送っています。
研究職を進路の候補としている大学生の方にとって、リアルな研究職の日常は進路を考える上で参考になると思います。
というわけで、本記事の内容は下記です。
月曜日
月曜日はどんな仕事をするの?
ある月曜日のタイムスケジュールは下記のとおりです。
筆者は有機化合物の合成実験が主な仕事で、週の前半は合成実験に多くの時間を割くことが多いです。
本記事で紹介する週も月曜日の午前から材料合成をスタートさせています。
筆者は1つの材料に集中して合成するのが好きですが、先週に着手して合成途中の材料があったので、この月曜日では複数の材料合成を同時に進めてました。
午後は材料開発に関する週1の部内会議から始まりました。
筆者が所属する材料合成を担当するチームと材料の評価・設計を担当するチームの情報共有の場です。
頻繁に進捗確認することで認識間違いの防止および開発スピードの向上を狙っています。
その後はメール対応と材料合成の続きをしていました。
材料合成の隙間時間を活用して、データ整理や評価依頼、明日の実験の準備や週報の資料作成も進めていました。
このように1つの仕事だけを進めることは基本的になく、複数の物事が同時進行していますね。
同時に2つ以上の仕事が重要な局面になったときは大変ですね(笑)。
マルチタスクを管理しそつなくこなす能力は社会人にとって重要なスキルです。
社会人の朝は研究室の頃より早いです。筆者は家が会社の近くなのでそこまで早起きしなくて良いですが5~6時起きの方が多いですね。来年度から社会人の方で生活リズムが乱れている方は徐々に戻していくことをお勧めします(笑)。
火曜日
火曜日はどんな仕事をするの?
ある火曜日のタイムスケジュールは下記のとおりです。
火曜日は月曜日から着手した材料の合成を引き続き実施しています。
この材料は精製に時間がかかるのでほとんど1日実験していましたね。
午後には安全活動に関する部内会議も行っています。
災害情報や部内ヒヤリハットの共有、その他安全に関わる連絡事項を共有する場です。
タイムスケジュールには書いていませんが、チーム内でも5分ぐらいの安全活動を毎日行っています。
企業は大学の研究室に比べて安全への意識がはるかに高いのが特徴ですね。
筆者の会社はフレックスタイム制なのでトータル7時間50分以上働いていればいつ来てもいつ帰ってもOKです(深夜業務は推奨されてませんが)。なので、朝早くに来て15~16時頃に帰宅する人もいます。大事な用事がなければ勤務時間を自由に設定できるのは嬉しいですね。
水曜日
水曜日はどんな仕事をするの?
ある水曜日のタイムスケジュールは下記のとおりです。
火曜日に引き続き、水曜日も材料の精製に多くの時間を割いていますね。
精製操作の合間を縫って、各種材料の分析やメールチェックを行っています。
夕方には材料合成がひと段落したので、不要な試薬の整理を行いました。
週末が月1の試薬廃棄日だったのでその準備ですね。
試薬廃棄は外注する関係上、色々と書類作成が必要で地味に時間がとられます。
帰る前に明日の週報資料を完成させ、ようやく週の半分が終了しました(笑)。
この3日間は比較的忙しくかなり遅くまで勤務しています。
普段は筆者含めほぼ全員が19時前には帰りますね。1人で遅くまで実験するのは安全上良くないですから(大学時代はよくやってましたが…)。
月の残業時間は平均して20~30時間です。
社会人になるとメールが山ほど来ます(笑)。情報共有を抜かりなく実施するのが社会人の基本ですので。入社数年のうちは自分に関係するメールはあまり来ませんが、一応目は通す習慣をつけておかないと大事なメールを見落として面倒なことになりますよ(実体験)。社内向けであれば最近はチャットで済ますケースも増えてきましたね。
木曜日
木曜日はどんな仕事をするの?
ある木曜日のタイムスケジュールは下記のとおりです。
木曜日の午前は合成した材料について精密な分析をするために社内の関係部署と分析方法について相談していました。
また、同材料について特殊な分析の外注や性能の評価依頼を進めていました。
この材料は重要度が上がってきたので、品質規格設定に向けて分析方法の確立や各種データ取得を行っていました。
午後からは安全活動に関する月1の研究所内会議がありました。
この会議は研究所内の各部の安全活動代表者が集まって情報共有する場ですね。
各部が実施している優れた安全活動を所内で横展開することが主な目的です。
15時からチーム内の週報に参加した後、時間ができたので新規材料のアイデアを考えていました。
新規材料を提案する際に調べることは色々ありますが、特許情報は特に重要です。
いくら性能が良くても特許NGだと世に出せませんから。
新規材料を考える際は知的財産部の方と相談し特許リスクについて把握してから進めます。
また、新規材料の合成方法は原料の入手容易さを特に意識して選んでいますね。
原料が簡単に入手できないと急なサンプル出荷に対応できないし、将来的に量産する際にも大きな課題となりますので。
企業は大学と違って何かと会議が多いです。最近はテレビ会議の普及のおかげで効率化が進んでいますが、会議に時間がとられることはある程度覚悟しておきましょう。
金曜日
金曜日はどんな仕事をするの?
ある金曜日のタイムスケジュールは下記のとおりです。
金曜日の午前は先日から準備していた試薬廃棄作業に始まり、重要材料の品質規格設定用のデータを整理していました。
また、お昼前には実験室掃除をしていました。室内掃除は週1で定期的に実施しています。
午後からは重要材料の品質規格についてどう設定していくか上司と相談していました。
その後、依頼した分析の結果を頂いたのでその解析、および、1週間の実験結果(ほぼ材料Aの合成)を整理していました。
分析結果や実験結果の整理はよほど忙しくない限り週単位で整理するようにしています。
面倒くさがって放置すると何か問題があったときに気づくのが遅れてしまいます。
後になってミスが発覚するのを防ぐためにデータ整理はこまめに実施するのが良いですね。
夕方からは新規材料の合成実験の実施可否について上司と相談しました。
初めて行う実験については安全の観点から上司の許可が必要なのです。
帰る前に実験台の整理をし、来週のスケジュールを大まかに決めました。
週の前半でかなり残業したので、金曜日は定時で帰りました(笑)。
データの整理は大学時代も重要でしたが、企業に入ると自分のミスが大人数に影響するのでより一層重要です。情報の整理整頓は常日頃から行わないといけませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめると下記のとおりです。
筆者の現状のスケジュールは1週間のうち実験に使う時間は半分ぐらいで、残り半分はデスクワークや会議が占めていますね。
大学時代は8割ぐらいの時間を実験に割いていたので企業に入ってからあまり実験しなくなりましたね(笑)。
ここまで読んだ方はリアルな研究職の日常をどう感じたでしょうか?
あまり実験できないし、やることが多くて大変そうに見えるかもしれません。
確かにつらいときもありますが、事業としての研究は大学の基礎研究よりも世の中の役に立っている実感がわきやすいのでとてもやりがいがあります。
大学とは違う研究の世界を知りたいなら企業研究職を検討してみてください。
きっと充実した毎日が過ごせると思いますよ。
以上、ご参考になれば幸いです。
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