博士を目指す大学生必見!博士が答える博士課程に関するQ&A集【就職・奨学金・給料編】

博士を目指す大学生必見!博士が答える博士課程に関するQ&A集【就職・奨学金・給料編】悩み
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こんにちわ。sakuranokiiです。

博士課程に興味がある大学生の方は博士課程に関して様々な疑問や不安をお持ちかと思います。

とはいえ、先輩の博士課程がいない方もいるでしょうし、先輩の博士課程がいても聞きにくいことはあるでしょう。

そこで、博士号を取得した筆者が博士課程に関するよくある質問に全てお答えします。

本記事では博士課程の就職・奨学金・給料に関するQ&A集を作成しました。

本記事の内容

●テーマ

博士号を取得した筆者が実際の経験に基づき博士課程の就職・奨学金・給料に関する疑問や不安に答える

●主旨

博士課程に進学したい大学院生の疑問や不安を解消し、博士課程に進学するモチベーションを上げてほしい

●読んでほしい人

博士課程に興味がある大学生

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就職に関するQ&A集

就職に関するQ&A集

始めに、博士課程の就職に関するQ&A集を下記に示します。

就職に関するQ&A集

Q:博士課程は就職できないって本当?

A:そんなことはないです(笑)。博士課程に進学しても就職は不利にはなりませんし、逆に有利にもなりません。個人の努力の結果が就職活動では出ます。詳しくは過去記事「博士課程進学者の就職は不利か?」をご参照ください。

Q:博士課程の就職は理系の方が有利?

A:有利です。博士は基本的に研究職として雇われますが、研究職は理系の方がなりやすいです。文系博士は就職するとしたら大学教員か、もしくは、金融業界の企業で市場動向の研究職に就くなどが選択肢としてあります。また、難易度は高いですがシンクタンクに就職するのもありだと思います。

Q:博士課程の就職は民間就職と大学への就職のどっちが多い?

A:民間企業への就職が多いです。大学教員のポストは競争が激しく簡単にはなれないので、その道を選ぶ人は少数派ですね。

Q:博士課程の主な就職先は?

A:主に製薬、化学、電子・電気・OA機器業界の企業が多いです。これらの業界は博士課程を積極採用しています。また、どの業界でも研究開発に力を入れられる大企業は博士採用に積極的なので有力な就職先です。詳しくは過去記事「博士におススメの業界」をご参照下さい。

Q:博士課程からポスドクになる人はどれくらいいる?

A:令和2年度学校基本調査の博士課程状況別卒業者数によると、博士課程修了者のうちポストドクターになる割合は約8%でした。理学部の博士課程はポストドクターになる割合が最も高く約20%ほどです。

Q:博士課程は確実に研究職として採用される?

A:間違いなく研究職として採用されます。ただし、ずっと研究職でいられるかは分かりません。入社数年後に異動命令で研究職以外の職種になる人もいます。

Q:博士課程修了者の年収は修士課程修了者より高い?

A:高い傾向にあります。内閣府設立のe-CSTIが実施した人材育成に係る産業界ニーズの分析の結果では「いずれの職種においても、業務との関連度、やりがい、年収レベルは、概ね、高専・学士<修士<博士の傾向がみられる」との記述があります。具体的にどれだけ違うかなどの詳しい分析結果を知りたい方は過去記事「博士課程修了者の給料事情~博士と修士どっちが稼げる?~」をご参照ください。

Q:博士課程修了者の初任給はどれくらい?

A:平均して約26万7千円です。修士の初任給よりも平均して約2万5千円高いです。ちなみに最も博士の初任給が高い業界は「薬品」で平均約29万5千円です。他の業界の博士の初任給も知りたい方は過去記事「理系企業200社の博士卒初任給の業界別ランキング」をご覧ください。

Q:博士課程は採用面接でどんなことを聞かれる?対策は?

A:自分の研究内容に関する質問がほとんどです。他には科学全般に関しての質問や学生時代の活動に関する質問、企業での研究活動に関する質問がありました。具体的な質問内容や質問対策を知りたい方は過去記事「博士課程の就職体験記~面接で聞かれたこと編~」参照。

Q:博士課程はESにどんなことを書いたら良い?

A:他者との差別化を図るために、博士課程に進学したからこそできた経験や得られたスキルをアピールするのが有効です。例えば、筆者は自己PRでは博士課程で培った高い研究遂行能力で事業に貢献するとアピールしました。詳しい例を知りたい方は過去記事「博士課程の就職体験記~ESに書いたこと編~」をご参照ください。

Q:博士課程は修士課程と違って就活では業績が重視される?

A:そんなことはないです。もちろん業績なしの博士よりも素晴らしい業績がある博士の方が有利ですが、もっと重視されるのは課題設定力や課題解決力、チャレンジ精神などの研究者としての素養の部分です。博士といえども新卒で採用される人は実績よりもポテンシャルで評価されます。

Q:博士課程なら就職先で海外もあり?

A:英語に自信があるなら大いにありです。海外企業の方が博士採用に積極的ですし、また、一般的に日本企業より待遇が良いです。貴重な経験ができるので将来的に日系企業に転職するとしても有利ですよ。

Q:博士課程の就職活動の流れは?

A:博士課程はいわゆる就活ルールの適用外なので一般的な大学生とは一部異なった流れの就活になります。簡単に言うと就職活動が2~3ヶ月ほど早いスケジュールで進みます。例えば、博士課程のエントリー時期は12月~1月が多いので気をつけましょう。詳しい就職活動の流れは過去記事「博士課程の就職体験記~就職の一連の流れ編①~」参照。

Q:博士課程は企業とのコネで就職する?

A:そんなことはないです(笑)。普通に就職する人がほとんどです。ただ、企業とのつながりは就職の糸口になります。実際に筆者は奨学金制度のイベントで企業との交流会に参加したことが就職につながりました。博士課程ならではの就職の実例について詳しく知りたい方は「博士課程の就職体験記~就職の一連の流れ編②~」をご覧ください。

Q:博士課程は企業では使えない?

A:その博士の能力によるので一概には言えません。企業で求められる能力は大学とは違いますので、そのギャップを埋められなかった博士は使えないと認識されてしまうかもしれません。企業研究職に必要な能力や企業が博士に期待することが知りたい方は過去記事「企業の研究職に求められる能力とは?」「企業は研究職の博士に何を求めるのか?」参照。

Q:博士課程はインターンシップに行くべき?

A:行っても行かなくても良いと思います。インターンは仕事現場を生で見れるし社内の人から貴重な情報も聞けるメリットがある一方で、本業の研究はストップしてしまうので一長一短です。行くとすれば卒業に必要な本数の論文が出せる目途が立ってからにした方がいいですね。ちなみに筆者の知り合いの博士はインターンに行った人の方が少数派でした。

Q:博士課程在籍中に起業する人っている?

A:筆者の身近にはいませんでしたがSNS等で見かけますね。起業は博士号を取得してからでもできるので、個人的には博士課程在籍中は研究に注力した方が良いかと思います。

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奨学金・給料に関するQ&A集

奨学金・給料に関するQ&A集

続いて、博士課程の金銭事情に関するQ&A集をまとめました。

奨学金・給料に関するQ&A集

Q:博士課程で奨学金を受給している人の割合は?

A:日本学生支援機構の平成30年度学生生活調査によると、約54%の博士課程がなにかしらの奨学金を受給しているそうです。

Q:博士課程の奨学金はJASSO(日本学生支援機構)から貰うのが一般的?

A:JASSOに加えて大学からの授業料減免措置を受けるのが一般的です。令和元年度博士課程学生の経済的支援状況に係る調査研究によると、JASSOからの奨学金受給額は年間120~180万円が最も多いです。また、大学からの授業料減免額は年間30万円未満と年間30~60万円がほぼ同じ割合で最も多いです。

Q:博士課程の奨学金は返還免除にできる?

A:例えば、JASSOからの貸与型奨学金は大学院時代の成績が良ければ返還全額免除や半額免除にすることが可能です。JASSO以外にも貸与型奨学金制度はあり、返還免除条件を定めている制度もありますので募集要項はよく確認しましょう。

Q:博士課程へ給付型奨学金(借金ではない奨学金)を支給する制度もある?

A:もちろんあります。令和元年度博士課程学生の経済的支援状況に係る調査研究によると、約5割弱の博士課程は給付型奨学金を受給しています。給付型奨学金は簡単には貰えず、政府や民間・企業団体が主催する奨学金制度に応募し合格しないと貰えません。

Q:博士課程が受給する給付型奨学金って平均していくらぐらい?

A:大体の学生の受給額は年60万円未満です。生活費相当額(年180万円以上)を得ている学生は約1割しかいません。

Q:博士課程向けの給付型奨学金で政府主催制度の代表例は?

A:文部科学省主催の制度としては「日本学術振興会特別研究員」「博士課程リーディングプログラム」「卓越大学院プログラム」の3つが有名です。また、最近始まった新制度「大学フェローシップ創設事業」「次世代研究者挑戦的研究プログラム」も要チェックです。支援内容や応募時期などの詳しい内容は過去記事「博士課程の奨学金について徹底解説~文部科学省からの支援編~」「文部科学省が始める博士課程の新たな経済的支援制度まとめ」をご参照ください。

Q:博士課程向けの給付型奨学金で企業主催制度の代表例は?

A:企業・民間団体主催の奨学金制度は「守谷育英会」「戸部眞紀財団」「本庄国際奨学金」「山田長満奨学会」が代表例ですね。他にもたくさんの奨学金制度がありますよ。支援内容や応募時期などの詳しい内容は過去記事「博士課程の奨学金を徹底解説~民間・企業団体からの支援編~」をご参照ください。

Q:博士課程の支援は今後拡大する?

A:今後さらに拡大します。「10兆円規模の大学投資ファンド」という制度をご存知でしょうか?本ファンドの目的はその運用益を安定した研究用財源とし大学の研究力を抜本的に強化することです。大学共用施設やデータ連携基盤整備に加え、博士課程の安定的支援を実施するそうです。具体的には2025年度までに生活費相当額を受給する博士を従来の3倍(修士からの進学者数の約7割)に増やすことを政府は今の目標としています。将来的には希望する優秀な博士課程全員が生活費相当額を受給できるようにするそうですよ。

Q:博士課程は給料が貰える?

A:TAやRAをすれば貰えます。上記の給付型奨学金の中には給料として生活費を支援する制度もあります。

Q:博士課程はTAやRAをやらないといけない?

A:TAに関しては筆者の大学では単位になっていたため全員必須でした。RAは義務ではありませんが、報酬が良く勉強にもなるので多くの博士が生活費を賄うために応募していますよ。博士課程に進学したらTA・RAのいずれかには従事すると考えた方が良いでしょう。

Q:博士課程のTA・RAの業務内容は?

A:TAの主な仕事は学部生の実験・実習の準備や指導です。RAの主な仕事は大学もしくは国研(理研など)の研究の手伝いですね。詳しくは過去記事「博士課程の奨学金について徹底解説~ティーチングアシスタント編~」と「博士課程の奨学金について徹底解説~リサーチアシスタント編~」を参照してください。

Q:博士課程のTAやRAの給料っていくら?

A:令和元年度博士課程学生の経済的支援状況に係る調査研究によると、TAの給料は年間10万円以下が約半数と最も多く、次いで10~20万円が約20%、20~40万円が約15%です。一方で、RAの給料は年間20~40万円が約27%と最も多く、次いで40~60万円が約16%、100万円以上が約13%です。RAの方がTAより給料はかなり良いですね。

Q:博士課程でTA・RA以外のアルバイトする人っている?

A:アルバイトする人もいます。ただし、割合は博士課程全体の約10%と低いです。アルバイトの内容は自分の専門知識を活かした業務が最も多く、また、収入は年間100万円以上の人が最も多いです。

Q:博士課程は非常勤講師として働ける?

A:非常勤講師になることは可能です。実際、筆者は在学中に非常勤講師として一時期働いていましたが、非常勤講師になれたきっかけはコネです(仲の良い研究室の先生が担当する授業の手伝いとして雇われた)。普通に応募するだけでは非常勤講師とはいえ大学スタッフになるのは難しいと思います。

Q:博士課程におススメの副業は?

A:専門分野の知識が生かせる副業がお勧めです。初期費用のかからないブログ運営がお勧めですね。または「ココナラ」で専門分野に関する質問に答える仕事をしても良いと思いますよ。もし、プログラミングができるのであれば「ランサーズ」や「クラウドワークス」で引く手数多なのでおススメです。

まとめ

博士課程に関する不安や疑問は解消されましたでしょうか?

「博士課程だから就職が難しい」とか「博士課程だからお金がない」とか、博士課程を都合の良い言い訳にするのは適切ではありません。

博士課程に進学したことが原因で人生ハードモードになるわけではありません。

博士課程への進学前・進学後にどれだけ努力したかで博士課程在籍中の生活はもちろん、今後の人生は決まるのです。

どんな環境でも結局は努力し続けた人が最後は笑います。

博士課程進学を機に、3年間自分をとことん鍛え上げてみませんか?

そうすれば、その後の人生はイージモードになるかもしれませんよ。

本記事の前編【基礎知識・仕組み・進学編】と後編【悪い面・研究室生活・英語編】もぜひご覧ください!

以上、ご参考になれば幸いです。

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